風呂で読む『ア・ルース・ボーイ』。

ア・ルース・ボーイ (新潮文庫)

ア・ルース・ボーイ (新潮文庫)

まあまあ。えーと、読みながら、「あーこれは”いま”の話なかんじがしないなあ」と思った。まぁ、じっさい今の話ではないし20年以上前、平成3年の三島賞受賞だそうなので当然なのだけれど。教師を殴って進学校を中退した少年が主人公っていうと、青春な感じとかビルドゥングスな感じとかがあるわけで、その感じそのものが古びてしまって”いま”には通用しないのかなあ、と。あるいは、その部分はまだ生きていて、でも主人公のアルバイトが新聞配達だったりするような、ディテールの部分が古びてるからなのかしら。あるいは、たとえばこの作品の中に(あたりまえだけれど)携帯電話が存在しないというあたりが原因なのかも。
まぁ、著者はわたくしよりずっとずっと年輩で、その著者がある種やっぱり自分自身の高校時代を重ね合わせて書いたようなところもあるかも知れないんだとしたら、昭和50年ごろないし1970年代ってわけで、もろ昭和なわけだし、そもそもこの作品も平成3年に受賞ってことは、まぁ平成の小説っていうよりまだまだ昭和の小説の範囲内っていうことかもしれない。