通勤電車で読む『RePUBLIC 公共空間のリノベーション』。思ったより一貫して不愉快。『貧乏人の逆襲』と併せて読むべき本。

RePUBLIC 公共空間のリノベーション

RePUBLIC 公共空間のリノベーション

朝日の書評で不愉快そうに紹介されていて、怖いもの見たさで買って通勤電車で読んでみた。公共空間のデザインにかんするアイディア&実例集で、イラストや写真も豊富で、おもしろいはずなのであるが、やはり一貫して不愉快だった。というのも、この著者の人が確信的に、規制緩和と民間資本導入をあるべきすがたとしているから:

この本で僕は、一貫して公共空間の改革開放路線を提案している。空間は管理する側の論理ではなく、使う側の論理で作られなければならないと思っているからだ。そのためには、空間の主体を管理者から使用者へと移行しなければならない。

こういう言い方は、なんとなくよさげに見えるけれども本当か?というひっかかりは、やはりあってしかるべきかもしれなくて、というのも、この本の中で「僕たち」「使用者」「みんな」といった主語の中には、公園のベンチで寝ているホームレスは入っていない。ホームレスがいるような場所で子どもを安心して遊ばせられるでしょうか?無理です!という感覚の人たちが「みんな」のなかみである。まぁ、きもちはまったくわからんでもないけれどさぁ、そういうふうにヌケヌケと言い切られるというのは、とくに「公共空間」についてそのような了見でものを言われると、やはり不愉快である。
この「みんな」の人たちは、たとえばニューヨークはセントラルパークの周辺で公園に近くなるほど税金が高くなる仕組みとかを紹介されると、なるほどそれは結構なことだと感心するわけで、つまり公園の周辺から富裕層以外を締め出して、公園周辺の環境を「よく」して、その結果として地価が上がり、みんながハッピーになる、というしくみがノー天気な図で示されたりしていると、やはりイラッとするでしょう。また、やたらと公共空間にカフェとかあるようなのが紹介されていて、民間事業者が運営したらいいのです、ハッピーです、というふうに書いてあるけれど、公園に行ってたんに一休みするだけで下らない(コーヒー代と称する)椅子代を取られるなんて、まっぴらごめんである、そして最近、まじでそうなりつつあるのだ。駅の構内で待ち時間にくたびれているのにタダのベンチがなくてカフェばっかりいろいろあるとかな。
『貧乏人の逆襲』と併せて読むべきである。

貧乏人の逆襲! (ちくま文庫)

貧乏人の逆襲! (ちくま文庫)

貧乏人の逆襲!―タダで生きる方法

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