『チャーリー・パーカー (KAWADE夢ムック 文藝別冊)』ながしよみ。パーカーの最古音源「honey and body」がすごいぞと。

大学の図書室の雑誌コーナーに久々に赴いたところ、めざす雑誌がなくて、代わりにあったこの雑誌を読んでた。パーカーひさびさに聴きなおそうかなと思わせるぐらいの特集ではある。
何回か言及される音源で、知らなかったのが、パーカーのいちばん古い録音というので、1940年ごろの録音とされる、無伴奏のソロアドリブ演奏で「ハニー・サックルローズ」から「ボディ・アンド・ソウル」になる、ファンのあいだでは「honey and body」と呼ばれている音源。

↑なんでもでてくるYouTube。こういうときはほんとうにすごいと思う。音楽の聴き方が根本的に変わるですよね。
それはともかく、繰り返し書かれているのが、パーカーは1940年、20歳のこのときからすでに完成されてパーカーだったし、ビバップだったと。『ミントンズ・プレイハウスのチャーリー・クリスチャン』がバップの始まりを記録しているというけれど、それより前に録音されたはずのパーカーの「honey and body」と比べてしまうとやっぱりスイングに毛の生えたていどに聞こえてしまうし、パーカーは圧倒的に最初からパーカーだったというのがわかってしまうわけである。そして、この無伴奏ソロアドリブは、そうとう抽象的なことをやっているにもかかわらず、聞けばくっきりと和音の進行感がわかる、と。そういうのだから、つまりバップのイディオムというのはパーカーがひとりでいきなり完成させてしまったというのだと。それで、それも驚異なんだけれどもうひとつの驚異は、パーカーがやっていたことが、ほんの数年でほかの幾人かのプレイヤーたちによって、楽器を越えて再現されてしまった、一握りの天才たちだったにせよ、何人かのバッパーたちが、パーカーのやっていたことを把握してそれぞれの楽器でそれを再現して、ビバップというジャンルを完成させてしまった、ということだと。なるほど。