『学校組織におけるミドル・アップダウン・マネジメント』読んだ。「M-GTAモノグラフシリーズ」だそうで、「巻き込み」が本書のキーワード。

つんどく本の中で、ハーベスト社の「M-GTAモノグラフシリーズ」というのが何冊かあって、今日は待機時間の多いしごとだったので、薄そうな本なのでさらっと読んだ。GTAってなんとなく、まぁいいやと思ってしまうところはあるわけだけれど、まぁ、食わず嫌いをせずということで。著者の人が、現職の小学校の先生方と共同研究ということなんだと思うけれど、フィールド研究をしてる。組織研究で、「ミドルリーダー」というのが注目されてるよ、ということで、とくに学校は、フラットな組織というか、トップは校長とか管理職、あとは先生方がたくさんいて、それ以上の階層構造があんまりない、という組織なので、「ミドル」の役割が重要なのだよ、しかも、いま、小学校なんかとくに、年齢構成が偏ってきてて、ミドルリーダーになるべき層の役割が重要なのだ、という筋書き。でまぁ、それはそうかなというかんじ。で、運動会をやるよというプロジェクト的な事例と、研究授業を継続的にやるよという事例と、ふたつについて、それぞれの組織のミドルリーダー的な人の動きを中心に描き出す。で、浮かび上がってきたキーワードが「巻き込み」ってことで、まぁ確かによく聞くというか、学校じゃなくても自分の職場関連でいうと地域のいろんな事業とかまちおこしとか、まぁいろんなプロジェクトとかで、やたら馬力のある人がいて「巻き込み力」を発揮したりすると話が動く、みたいなのはよく見かけるわけで、おそろしいわけであるけれど、まぁたぶん学校のミドルリーダー的なポジションの先生がなにかをするときも - つまり、たんに組織の中で制度的形式的に決まったことだけをやってるだけだとあまり可視的にならないけれど、なにか決まったこと以上のことをしようとするときにはそういうミドルリーダー的なポジションの人が可視化されるわけで - そういう制度外で人を動かす「巻き込み力」を発揮するということは、あるのだろう、というか、定義上、なにか変わったことがおこなわれるときには、そこにかかわる人は「巻き込まれた」ものとして描かれることになるだろう(組織が平常運転してて誰もが制度的に決められたことを粛々とこなしていれば、それを「巻き込まれた」とは言わないわけだからね)。で、それはそうなんだけれど、そこからがGTAの出番で、つまり、インタビューをして分析して概念を抽出してストーリーラインにまとめ、図にすることで、その「巻き込み」のプロセスというのを描き出す。そこで、組織のメンバーの中では暗黙知だった「巻き込み」のあれこれが明示されることになるよと。まぁ、なんとなく、「巻き込む」側の人目線で、しかも「巻き込み」が成功した結果のほうから遡行したような解釈に見えなくもないけれど(ていうかそれはGTAというのはそうなっちゃうんじゃないかという気もしなくはないけれど)、ともあれ、まぁ、書いてあることはわかったような気はした。