動機づけ面接の本を読むシリーズ( https://k-i-t.hatenablog.com/entry/2023/01/25/002506 https://k-i-t.hatenablog.com/entry/2023/01/30/212548 https://k-i-t.hatenablog.com/entry/2023/02/15/234944 https://k-i-t.hatenablog.com/entry/2023/02/16/214044 https://k-i-t.hatenablog.com/entry/2023/02/20/234353 )。この本は続編的なもので、前著はさしあたり品切れだったので中古で発注中。で、「リーダーのための」というのは、まぁ、ビジネス書的な文脈のおはなしだぞと。で、動機づけ面接、というのは、3人の著者が共通でやっていますよ、ということであり、で、まぁこの本がどのぐらい動機づけ面接の本か、というのは、前著の方をみないとわからないところがあるけれど、とりあえずは動機づけ面接というよりは「Society5.0社会に求められる「リーダーシップ」とは。」という帯の惹句のように、リーダーシップ論がやりたいみたいで、その内容としては「サーバントリーダーシップ」というのを軸にしているように見える。また、「サーバントリーダーシップ」も動機づけ面接と合致してるね、ぐらいの感じに見える。でまぁ、後ろの方の章では会話例みたいなのも出てて、「成長支援につながらない事例/つながる事例」みたいに対比されて、後者では発話のあとにちょいちょい(単純な聞き返し)(是認)(要約)みたいに書いてあって動機づけ面接っぽく書いてある。まぁね。まぁしかし、施設職員や新入社員が「仕事を辞めたい」と言ってきたのに対して、よい会話例でも悪い会話例でもまぁ結論としては同じで、やめていいよとはならない。あなたの人生なんだから前向きな決断なら応援するよとはならんわけである。なぜかというと、産業だとかビジネスだとかの文脈で「リーダー」というのは、サーバントリーダーだろうが何リーダーだろうが、まずそもそも第一に、資本のサーバントであるわけで、そうじゃないと成り立たないわけである。しごとがつまらないという新入社員をほいほいやめさせていては組織の不利益になるわけで、組織のパフォーマンスを最大化するのがリーダーの役割なわけで、そのための方法論の一つがサーバントリーダーだったり、あるいは別のやりかたのほうがより組織メンバーの能力を絞り出せてパフォーマンスが上がるのであればそうすべきだよね、というのが産業の文脈における「リーダー」なわけである。そのあたりは、医療や福祉の文脈とはまた別で、医療や福祉であれば、まがりなりにも、タテマエなりと言えど、患者や利用者の幸福を最終目標として設定できるわけである。でまぁ、そのあたりの文脈の相違が何を起こすかというと、これまで見た本と同じく、ようするに動機づけ面接というのがぶっちゃけこちらの目的に沿うように相手の行動変容を起こして操作することだよね、というニュアンスがよりあからさまになる、という。
あと、ちょっとおもしろかったのは、「プロティアン・キャリア」という、ようするに企業組織なりの内で昇進していくイメージのキャリアではなくてもっといろんな場で変化しながら進んでいくキャリア、みたいなイメージを提起しているのだけれど、その説明の中で、『丼屋の経営』『辞める研修 辞めない研修』(https://k-i-t.hatenablog.com/entry/20150715/p1 https://k-i-t.hatenablog.com/entry/2019/07/15/142412 )の著者の人の本を引き合いに出しつつ、「社会学者ピエール・ブルデュー教授の「資本論」」などをとりいれた概念を紹介しているのだった。なんかいろいろつながってるんだなあと。