通勤電車で読む『オカルト化する日本の教育』。『江戸しぐさの正体』の人の新書本。
2018年の本。前の本『江戸しぐさの正体』(https://k-i-t.hatenablog.com/entry/20150402/p1 https://k-i-t.hatenablog.com/entry/20150402/p2)を学生さんに薦める新書本のリストに以前少し入れていたりもしてたのだけれど、気が付いたら新書でも新しく出ていたらしい(『江戸しぐさの終焉』ってのも出ていたようですな。でも終わってなかったということなのか、本書も入り口は江戸しぐさの話)。でまぁ、本書が出てから3年たってるので気づくのが遅いわけだけれど、まぁ次にまた学生さんに薦めるならこっちかなあ。内容としては、「江戸しぐさ」「親学」に「伝統的子育て」「二分の一成人式」「親守詩」「人間ピラミッド組体操」、TOSSや日本会議とのかかわりのはなし、陰謀論やオカルティズムや縄文人再評価などなど、もりだくさんになっている。70年代おわりに、アメリカの先住民の公民権運動AIMの一環で、サンフランシスコからワシントンDCまで歩く「ロンゲストウォーク」というのが行われたんだそうで、そこに参加した日本人がいて、その母親も息子を通じてAIM主催者と交流を深めたりしていて、その人がのちに「江戸しぐさ」の中興の祖となる、という経緯。つまり「江戸しぐさ」における「江戸っ子」というのはネイティブアメリカンの焼き直しで、世界に同時代的に見られたロマン主義的な原住民復権のひとつなのだと。ふつうにみれば珍妙にしか見えない「江戸っ子狩り」などというのも、アメリカの歴史の中で行われたネイティブアメリカンの虐殺からの転用であるとわかるとなるほどすっきりする。でまぁ、そんなこんなで、江戸しぐさ以外にいろいろな話題がひろがりつつ、じつはそれらが狭い人脈とある種の特定の発想にもとづいているよというのがおもしろいところ。