『「書く」ことによる学生の自己形成』読んだ。

著者のひとは大学の初年次教育で「パーソナル・ライティング」というのをやってるそうで、それがよいのだよという本。著者のひとの博士論文の一部だそうで、だから、そういうライティング教育の先行研究なんかも検討してるみたい。で、アメリカでPersonalWritingというのはいくつかの大学に広がってて、それはAcademicWritingと対比される、エッセイみたいなもののようだ。大学の初年次教育でアカデミックライティングの練習が必要だとかいうけれど、この大衆化した大学でアカデミックな作文の練習をするだけでええのかと。まぁな。で、著者のひとのやってるのもそういう線なんだがまた一味違うので、カタカナで「パーソナル・ライティング」と。で、なにをやるかというと、まぁエッセイみたいなもんではあるのだけど、ようするにお題に沿って作文して推敲して発表してみたいなこと。でまぁそのお題の設定が「わたしの居場所」とか「こころに残る人」とかね、自分語りになるようなお題になってて、それについて学生さん一人一人がワークシートであれこれアイディア出しをしたり先生に相談したり、まぁ作文したり、推敲したり、それを発表してみて、クラスメイトや先生に受け入れられたり、それをまた振り返りしたり、そんなこんなを半期で3クール、通年で6クールやって、また共同で制作物としてZINEを作ったりしているうちに、まぁ学生さんはたんに作文ができるようになるというよりも、自己形成をするのだよ、というおはなし。まぁそういうこともあるかね。
まぁ、そうは書いていないけれど、日記を書くことでセラピーになるみたいなのはあるわけだから大学の初年次教育の作文教育の授業で学生さんたちが自己形成なり自己変容なりすることはあるだろうなあとは思う。また、いまの大学で今の学生さんに、初年次から、アカデミックライティングなどといってもモチベーション上がらんだろうし空回りするだろう、でもって他方では最近の若者は人間関係とか自己とかコミュニケーションとかなんだとかかんだとかについてヨワヨワなので初年次教育で自己形成のお手伝いをしたらええやないかという気分もまぁわかる。まぁでもぎゃくにいうと、セラピーとして考えればこれ授業技術に還元しきれないところはあって、ようするのこの著者のひとがよきカウンセラー役割を果たしていたから効果的でした、ほかのひとだとわかりません、ということになるような気はしなくはない。まぁでもあるていどはできるかな。いやーわからんわ。わたしなんかこれやろうとしても、学生さんの自分語りのエッセイ作文なんか一クラスぶんを毎週繰り返し読まされてたら知らんがなという気持ちになると思う。まぁとかなんとかいいつつ参考に。