通勤電車で読む『人に頼む技術』。社会心理学のひとが書いた、意外と人は頼まれてくれるよという本。

サクッと読めた。アメリカの社会心理学のモチベーション研究の人が書いた本。3部構成になっていて、「なぜ、頼みごとをするのは難しいのか」(→意外と人は頼まれてくれるよ)、「良い頼み方、ダメな頼み方」(→相手の助けようというモチベーションを高める・低めないように頼むといいよ、内発的動機付けがよいよ、)「人を動かす3つの力」(→仲間意識・自尊心・有効性の実感、がポイントだよ)、みたいなはなし。何しろ社会心理学なので、いろいろ実験(社会心理学の実験はひとをためすようなのがおおいですな)をやった結果に基づいて書かれているので、ひとまずふうん、となる。しかし、我が身を振り返ると、まぁ人に頼むのは苦手だし頼まれるのは嫌だし、それがこの本によって変わるかなあ?という気はする。えーと社会心理学の実験と言っても、どうせアメリカの大学生を被験者にしたりしているわけで、文化差だってあるだろう、とは思うわけである。あと、たとえば社会心理学的なアプローチだと、「相手が「自発的に助けたのだ」という心理状態になるようにうまく頼むとよい」とかそういうテクニックを提案することになるのだろうけれど、社会学だったら、たとえば「お互いに「頼む」ということができやすいようなプラットフォームをどう作るか」みたいなデザインの発想になるのではとちらっと思いながら読んでた。
いつもながら念頭にあるのは、研究会で、研究会というのは「自分の発表を聞いてコメントしてほしい」というニーズにこたえるもので、このニーズは多くの人が持ってると思うのだけれど、じっさいに研究会がたちあがるということは、じぶんのまわりでは、あまり実現しなくて、あるいはうまくまわらなくなって、だからようするにほとんど成功体験がないわけである。そんななかで、意外と人は頼まれてくれるよ、という本を読んでも、うーんほんとかなあと思ってしまう。まぁ、だから、お互いによくなるしくみ、みたいなことは考えないで、単に自分が自分のニーズを満たすために上手に人に頼みましょう、というおはなしなのかもしれない。まぁねえ。