『貞子』みた。池田エライザは正解。

テレビでやってたので見た。昔『リング』ものを4本つづけて見た(https://k-i-t.hatenablog.com/entry/20130217/p2 https://k-i-t.hatenablog.com/entry/20130218/p1)けど、その後も貞子の映画はなんかいろいろあったみたいだなあというのは知っていて、まぁそのうちのひとつなのであろうと思ったけれど、このたびのヒロインは池田エライザ。これはアリだった。目が大きくて、目を見開いて恐怖の表情をすると映える。あと、ともさかりえもでてくる。Jホラー的にこれもあり。ところで、貞子というのはもともと「呪いのビデオ」という、そのVHSテープがいろんな人の手から手へ渡り、それを見た人が呪われる、という設定だったはずなのだが、もうVHSテープというのは使われなくなって、YouTubeの時代である。呪いのビデオならぬ呪いの動画、ということになるのだが、そうするとこんどは、見た人全員のところに貞子が出て行くというわけにもいかなくなって(だれかの漫才のネタで、「スマホの画面から小さな貞子が…」みたいなのがあったが(→あ、漫才じゃなくてユリオカ超特Qさんだった気がしてきた)、たしかにそれじゃ笑えるだけである)、つまり、見たぐらいでは呪われなくなる。池田エライザの弟がYouTuberになって、余程失礼なことをやって、はじめて呪われるような感じ。というわけでようするに、貞子は弱くなってる。前みたいに、見たら死ぬっていう「呪いのビデオ」をなんで映画で見せるんだ!見ちゃったじゃないか!呪われるじゃないか!みたいに観客が怖くなるみたいな心配は、だから、なくなったわけである。まぁそういうことをいうと、このての霊モノは、照明やキャメラの角度などちょっとしたことによって怖さがでてくるという「小中理論」でいけば、とうぜん、シリーズ化することによって貞子をいろいろなやりかたで登場させればさせるほど、「怖くない貞子」を映さないといけなくなって貞子がキャラクターというかギャグになってしまう。たとえば、霊なんて、見る人の意識の閾値ぎりぎりのところで「これは現実か、気のせいか」ぐらいの見え方をすると怖く見えるわけで、えーとたとえば、呪いのビデオの中にぼんやりちらっと出てくるときは怖い。画面のはじっこのほうの薄暗いところにぼーっといても怖い。でも『リング』で貞子が画面からついに出てくるところはほんとうはきわどい。また、出てくるところを横から撮ったりすると怖くないし、画面の外に出てから動き回る貞子は単に匍匐前進してる頭のおかしな人、というふうに見えてしまうし、貞子がてくてく二足歩行していたりすると、霊というよりこれから悪いことをしようとしている犯人かなにかみたいに見えることになる。佐藤仁美が貞子に襲われているところを横から撮っているけど、「え?貞子なにもしないの?佐藤仁美ドン引きしてるじゃん?」という絵に見えなくもない。そうそう、それをいえば佐藤仁美、やばいかんじの患者の役がはまっていたけれど、途中であれこれ説明しだして「?」と思っていたが、後でしらべたら『リング』『リング2』に出ていた(友達が貞子に呪われて死んでしまって自分も精神に異常をきたして精神病院に入院することになった子の役)のだった。そう思って見ていないといけなかったのか。そう思って見るにしては、佐藤仁美という女優さんのその間の活躍が印象強すぎて、「あ、ライザップでやせた人だ」とか「大酒のみでぶっちゃけキャラのバラエティタレントの人だ」とかそういう目で見てしまうわけである。えーとつまり、そういう人が病んだ役をやると、コメディエンヌがシリアスな役をやると怖いみたいな意味で怖くてはまっていたのでそれはそれでよかったのだけれど、この人物は実は『リング』に出ていたあの人物で…というかんじで回想などされると、え?そういうこと?と思ったりする。
でまぁ、アラもあるように見えたにせよ、やはり中田秀夫Jホラーのかんじはしっかりあって、最初のまがまがしいマンションのカットとか、病室の天井から水がびたびたと落ちてくるところとか、ベッドの下から貞子の黒い髪がわあっと出てくるところか…といいつつ、そういうのは『リング』というより『仄暗い水の底から』でやってた手だった(マンションものといえば、『クロユリ団地』というのも見たな(https://k-i-t.hatenablog.com/entry/20160126/p1 ))。あと、歩道橋で会う女がいちばんよかったけどあのかんじは黒沢清っぽい気もした。で、足の角度はなるほど『リング』の人だ、というかんじ?