『読者に憐れみを ヴォネガットが教える「書くことについて」』。

少し前に、Amazonかなにかでおすすめで出てきて、ヴォネガットかぁ、と思いつつ、「書くことについて」というのはおもしろいかもな、とも思いつつ、ずっとしばらく「あとで買う」みたいなことにしていたのだけれど、あるときふと、読んでもいいのではないか、と思い立って、買ってみた。届いたらとても厚かったのは画面からは気づかなかったこと。通勤電車で少し読んだりしたけれど、まぁやはり枕元に置いたりしてうちで読んでた。あと、これはヴォネガットの教え子で親しくしていた作家のひとが著者で、ヴォネガットの作品やいろいろに残した言葉や、あと周囲の人たちや著者自身の思い出を組み合わせて再構成した本だった。あと、これは文章作成に関する本というわけではなくて、ヴォネガットが大学の授業で教えたり、ヴォネガット自身がそうしたりしていた、作家として書くことや作家として生きることについてのあれこれを語る本だった。でまぁそれはそれとしてこの本はよかった。ヴォネガット、学生のころに何冊か読んで、就職してからも何冊か読んで、まぁしかしそのぐらいだった。P.K.ディックはかなり熱心に読んだし感化されている覚えがあって、ヴォネガットのほうには行かなかったよなあという自覚はある。でもやっぱりいいなあと思う。院生の時に、院生室の自分のデスクのどこかに、『猫のゆりかご』のページをコピーしたやつを貼ってたような覚えがある。でもいま、ヴォネガットを読んでじんわりしていることはこの生活の中ではできないような気がする。それはヴォネガットだろうとディックだろうと、なんかこうそういう小説をゆっくり読む精神の状態にならない気がする。でもヴォネガットまた読みたくなったな。