通勤電車で読む『特攻服少女と1825日』。これはおもしろかった。『ティーンズロード』初代編集長の人の1990年代回想。

流れでというわけでもないけれどこれもTwitterを横切って面白そうと思ったので読んだ。1989年創刊-1998年廃刊だそうだけれど、『ティーンズロード』という、暴走族女子「レディース」に焦点を当てた雑誌があって(名前だけはなんとなく聞いたことがあるね、ちなみに誌名は『ホットロード』から来てたのだそうだ)、その立ち上げ初代編集長のひとが、当時のことを振り返って書いた、それがまわりまわって小学館ノンフィクション大賞も受賞したという、おもしろい本。
でまぁ、目線は著者の人だけど、主人公は『ティーンズロード』を飾るレディース女子たち(とくに何人かの「総長」を張っていた人たち)、そして『ティーンズロード』の読者や投稿者だった当時の、「ふつう」の、しかし居場所を見つけられずに暴走族やレディースの姿にあこがれをもっていたような女子たち、というかんじ。たぶんそれは1980-90年代前半までの、地方の、子たちだったということで、90年代後半になってそうしたヤンキー文化は退潮していく。厳しい掟のもと苛烈な暴力をともないつつ義理と人情と気合で成り立っていたタテ社会は、いつのまにか「古い」ものになっていって、10代の子たちにとって特攻服のレディースの姿がカッコ悪くなっていく。で、渋谷?発信の「コギャル」とか不良とかが新しい流行になり、しかしそこにはかつてのような掟や義理人情が感じられず、よくわからない苛立ちや歯止めのない暴力が支配的になる等々。具体的には、『ティーンズロード』の取材スタッフが取材と関係ない不良に暴行を受けるようになってきた、という。『ティーンズロード』廃刊の大きな理由は、まぁ部数の減少もだけれどそういう変化があったのだと。うーむ。まぁ、任侠路線の健さん鶴田の世界から、実録路線の文太の仁義なき戦いの世界に変化をしたみたいなことか。
そのあたりは、うーむ、いろいろと考えさせられるなあと思いつつ、しかし本書は、過去を回想しつつ思い出の地を訪れたりしながらもう自分にはかつてのように行き場のない10代に関わる気力は無いなあと自覚する著者の人の姿、そしてかつて係わったもと総長たち、とくに立ち上げまもなく廃刊の瀬戸際にあった『ティーンズロード』に現れた伝説の総長・すえこの、現在の姿とともに締めくくられる。これはやはり希望という読後感はあるね。
nikkan-spa.jp
あと、
www.youtube.com
これやはり見たくなるね(あと、このYouTubeのコメント欄に、当時地元でえらい目に遭った人たちの声らしきものも書かれているのがまたインターネットですわな)。