時間が少し空いたので高橋源一郎『日本文学盛衰史』読んだ。

厚い小説は、それなりの時間と心の余裕ができないとよめないのだが、少し時間が空いたので読んだ。わりかし一気に読めた。面白かった。

日本文学盛衰史 (講談社文庫)

日本文学盛衰史 (講談社文庫)

出版社/著者からの内容紹介
おもしろくてためになる、小説で読む新世紀超絶文学史!!
第13回伊藤整文学賞受賞作
「何をどう書けばいいのか?」近代日本文学の黎明期、使える文体や描くべきテーマを求めて苦悩する作家たち。そして……漱石は鴎外に「たまごっち」をねだり、啄木は伝言ダイヤルにはまり、花袋はアダルトビデオの監督になる!?近代文学史上のスーパースターが総登場する超絶長編小説。
伊藤整文学賞受賞作>

面白かったのでグー。で、ためになるかというと、べつにそういう本でもないとは思う。ていうか、これを読んで「ためになるなあ」というのでは、ちょっともひとつ、で、むしろ、これを読んだら「ここに登場する人たちのもとのテキストを読まなきゃはなしにならんなあ」と思って明治文学をあれこれ読みたくなる人が出てくる、ということであれば、そういう次元で「役に立つ」ことになる、とはいえるかもしれない。もし、出てくれば、だけど。うーん、私は、漱石はべつとすれば、今さら読まないだろうと思う。ただ、学生時代に、お金がなかったときに古本屋で文学全集の端本を買って読んでたことがあって、田山花袋とかはそのころ読んだ気がする。だから、そのときのタイミングでなら(つまりお金がなくて時間が余ってたときなら)、ここにでてくるのを片っ端から読むきっかけになったかもしれない。
ていうか、ここに出てくるような話は、自分の世代的に言うと、学生のときに柄谷行人日本近代文学の起源』を読むわけで、そうすると

目次

1 風景の発見
2 内面の発見
3 告白という制度
4 病という意味
5 児童の発見
6 構成力について

などという内容で、
漱石だの独歩だの二葉亭だの透谷だの・・・が出てくるので、そのときに関心を持って、たとえば花袋とかそんな関心で読んだという記憶もなきにしもあらずだ。

日本近代文学の起源 (講談社文芸文庫)

日本近代文学の起源 (講談社文芸文庫)

で、それはそれとして、
高橋源一郎のこの本、ようするにたんなる小説として面白かった。
文学史とかさっぱり知らないし、知ろうともべつにおもわないのだが、この小説の登場人物たちが、ようするに、ものを書いていこうとか創造していこうとかいう人たちであって、しかも多くは若くて、あぶなっかしくて、なんかこう、青春小説というか青二才小説というか、なんだかんだいろいろなものがつめこまれて巨大化しているけれどなぜかデビュー作の『さようなら、ギャングたち』を思い出したりもした、ぐっとくる小説だった。
さようなら、ギャングたち (講談社文芸文庫)

さようなら、ギャングたち (講談社文芸文庫)

やっぱしもっと若いときによんだらよかったのかな?