【エリート教育の構図−海陽の波紋】(1)外部と遮断し異空間

http://mytown.asahi.com/aichi/news.php?k_id=24000240603300001

2006年03月30日

〜地元「近寄りがたい」〜


 市内の巨大なレジャー施設隣の埋め立て地に全く新しいタイプの学校ができる。しかも「国家的なリーダー養成」をうたっている――。


 04年6月、愛知県蒲郡市議会は海陽学園について、異例の「歓迎決議」をした。議論には、全寮制の魔法学校を舞台にした映画「ハリー・ポッター」まで飛び出した。「蒲郡のイメージアップにつながる」「経済効果も期待できる」というのが、決議の理由だった。


 「地元の子供たちにとっても大きな刺激になる」と市民も喜んだ。


 市は学校に続く歩道を整備し、約1600万円をかけて最寄りのJR駅前のトイレを改修。駅前広場も整備して備えた。


 生徒はIT端末を持ち、常に居場所を把握される。休日に散髪に出かける時も教職員が引率。防犯カメラが設置され、外からも近づけない……。学校の様子が分かってくると、受け止め方が変わった。市議の一人は「生徒が街を自由に行き来できると思ったが、あそこまで管理されるとは。ちょっと近寄りがたいですね」と漏らす。


 「海陽に問い合わせたいことはないか」。同市教育委員会が昨年秋、市内の小中学校全20校にアンケートを送ったが、返事は数件しかなかった。


 わずか500メートルの場所にある市立大塚中からは海陽の施設が見渡せる。中2の男子生徒は「おれたちとは関係ない世界ですよ」と話す。


   ■     □


 広々と海を一望できる食堂、13万平方メートルのキャンパス、個室、1人1台のパソコンや携帯端末。海陽の生徒はぜいたくな環境が用意される一方で、漫画やオーディオ、ゲーム機器の持ち込みは禁止。参考書、辞書以外の本も10冊以内と制限されている。


 あえて全寮制にして生徒の全生活を管理するのも、英国のパブリックスクールを参考にしただけではない。今の日本で理想の教育を行うには、外部の情報をある程度遮断し、「異空間」を作りだすのが必要と考えているからだ。


 「今の子供たちは塾通いとテレビゲームで、自由な時間を失っている」。JR東海会長で、学園副理事長の葛西敬之氏の持論だ。「自由な空想を刺激する環境は一定の規律の中にある」とも話す。


   ■     □


 もっとも、ほかの有名私立進学校でも全寮制にしているところはほとんどない。むしろ孤立しがちな生徒たちの社会との接触に心を砕いている。


 寮のあるラ・サール中・高(鹿児島市)は毎週木曜日、「母の会」(400人)のメンバーが入り、生徒の洗濯や繕い物も手伝う。「学校の中だけでは息が詰まる。私たちの声が聞こえるだけで安心するのでは」と話す。


 東海中・高(名古屋市)では、学校を「一日公民館」にするイベントを年2回開く。生徒が中心になって政治家やグラビア女優らさまざまな人を講師に招く。施設も開放し、今や延べ3千人が来る一大イベントだ。


 東海OBの評論家、呉智英氏は「選ばれた人間だけの閉鎖空間で人材が育つのか」と疑問を話す。「若い時は閉じこもっているだけでなく、雑音の中でのいろいろな刺激が必要」。呉氏の場合も、授業をさぼって映画館や美術館に出かけたが、それが今の自分の糧になっているという。


 しかし、海陽の父母には「多様な子供とつきあうのは、小学校までで十分」と閉鎖空間を歓迎する声もある。寮で父親役となるハウスマスター、元銀行マンの篠崎高雅氏(46)は「休日は自宅に帰り、他の世界に触れる。もともと全国から集まっており、多様性もあるはずだ」と話している。



   ◇


 海陽学園が4月8日開校する。「未来のリーダーを育てる新しい教育」が注目される一方で、格差社会の広がりの中で学園をみる目は複雑だ。エリート教育の構図をみた。


(井上未雪、松田智子、伊藤智章が担当します)


【一番気に入ったのは?】
(海陽受験者の親50人にアンケート)


・リーダー教育・全人教育 22人
・充実した教育環境 12人
・全寮制 9人
中高一貫教育 2人
・公立への不満 1人
・その他(新設校、いい教材など) 4人



海陽学園】 トヨタ自動車JR東海中部電力を中心に中部財界が出資して設立され、中高一貫の全寮制男子校を開校。初年度には124人が入学する。企業出身などの教員資格を持つハウスマスター(寮長)と出資企業から派遣された社員がフロアマスターとして寮に住み込む。初代校長には、東大名誉教授で開成中学・高校長を務めた伊豆山健夫氏が就く。

まぁ、マンガみたいで面白くはある。他人事だしね。
自分は地方のふつうの公立の普通高校だったのやけど、大学に入ると有名国立とか有名私立進学校の出身の同級生も多かったのだけれど、だからといってまぁべつになんてことはなくて、ふつうだったと思う。
ま、こんなマンガみたいな学校の出身者はいなかったかもしれない。
極端なことをやるには、勇気が必要なんで、まぁふつうは中庸がいちばんなんで、そこからはずれると、常識的には、よいほうに転がる確率は1%ぐらいで、九分九厘、悪くて歪んだ方に転がるとしたもんなんだけど、まぁ、その確率は適当にいったんで、10%と9割かもしれないし、4割と6割だったかもしれないけど。まぁどうでもいい。他人事だしね。