セニョール・ココナッツ『プレイズ・ワイエムオー』と、といぼっくす『Acoustic YMO』。

いやあ、amazonさんありがとう、いままで「おすすめ商品」とかいきなりいわれてもうざいなあと思っていたのがほとんどだったのだけれど、ふと食指が動いて買ってみたらよかった。YMO世代、ですから、いまこうやって「YMO関連商品」がたくさん出てきているのはとてもうれしい。両方とも、YMOのカバーで、セニョール・ココナッツ版のほうは、謎ラテンバンドで、といぼっくすのほうは、クラシック系の楽器で1st『イエローマジックオーケストラ』を完全コピー。

プレイズYMO(初回限定生産)

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Acoustic YMO

Acoustic YMO

まぁ、両方よかったのだけれど、セニョール・ココナッツ版のがよかった。ラテンアレンジで、下品でたのしめたし、後期のアルバムに光を当てた選曲もよかったし。「LIMBO」なんて、もともとラテンの曲だったとしか思えない。言われてみれば。
で、といぼっくすさんのほうは、「コンピューター・ゲーム」をアコースティックで完全コピーしているのには脱帽したし、クラシックの人がポピュラー音楽をやってもふつうはタイム感がスクエアになるところをかなり乗って演っているのでいいなあとおもったし、とにかく原曲の、メロディだけでないバッキングの細かいところまで再現しようという意志が聴けたのはよかった(再現、ということで言うと、いちばんオケ化しやすそうな「東風」がいちばんへたっているような気がするのだけれど) − のだけれど、ラテン版の無闇に下品な演奏を聴いてしまうと、どうしても、上品過ぎる気がしてそこがちょっと割りを食ってしまった。これは並べて聴いた自分のせいなんですが。でも、要点は、YMO世代で感化を受けた層って上品派に流れがちだとおもうのだけれど、原曲のエッセンスにはしっかり下品さがあってそこがよかったのだ、と。ここでセニョール・ココナッツを名乗っているのはアトム・ハートという人であるらしく、永らくYMOファンだと自称していたしYMOの人たちと活動もしていたのだというのだけれど、なるほど、このラテンアレンジは、ただごとでないちゃんとした曲理解があるのだな、と。YMOのキャリアの中でも、パッと聴きのもやもや感が増した(逆にいうとすっきりした上品さが薄れた)中後期のアルバムからちゃんと選曲しているところなんか、わかってるなあみたいなかんじ。