『鰯雲』よかった。学生さんむけ。

http://www.jmdb.ne.jp/1958/ch003620.htm
淡島千景だというので楽しみに見てみたら、なんと農村のはなし。昭和33年の作品。農村で、戦後のアタマに切り替わっている人たちと戦前までのアタマが抜けきらない人たちのくいちがいがお話の大枠になっているので、ベタないみでべんきょうになる。家族のはなしなのだけれど、金とかしがらみとかがからんでくるので、単純な人間関係ドラマとか心理劇とかにならない。
でも、淡島千景が女学校出だとか、跡継ぎの嫁に入ったとたんに夫が戦争でなくなってひとりで百姓をしつつ姑と子どもをやしなってるとか、淡島の同級生の新珠三千代が金持ちのメカケで料理屋を持たせてもらってるとか、淡島の兄の中村鴈治郎が子どもがたくさんいて、東京の学校に行く学費のために田んぼを売るとか売らんとか、なんか筋書き自体はいつもの成瀬なところがすごい。
それはそれとして淡島千景がだんぜんいいのである。野良仕事をやりつつ美しいという。木村功の愛人をしてても美しいという。ていうか木村とのシーンになると妙にうざい女になるのはたしかなんだけれど、それはそれとして美しいという。