「大学卒業生に教育力調査 母校で「人間形成」5割 「就職に役立った」は3割」

http://www.yomiuri.co.jp/kyoiku/news/20081111-OYT8T00225.htm

大学卒業生に教育力調査
母校で「人間形成」5割 「就職に役立った」は3割
 大学経営に関心を持つ大学人と企業人などで作るNPO法人21世紀大学経営協会(理事長=宮内義彦オリックス会長)は、大学・短大の卒業生に対する教育力調査の結果をまとめた。

 今春、インターネットで学部卒業後3〜7年の人に限定して行い、830の大学・短大を卒業した7597人から回答を得た。

 まず、母校の教育への総合評価5項目では、「そう思う」と肯定的に答えた人が、「大学教育は卒業後の仕事や生活に役立っている」や「人間形成が図れた」では約半数あった。ただ、「学習意欲がわく授業が多かった」は3人に1人、「就職活動や就職試験に役立った」は3割にとどまった。設置者別では、国立大の評価が全体的に高かった。

 大学教育や大学生活で習得できた能力については、「感性や人間性の豊かさ」「豊かな教養による社会を見る広い視野」が6割を超えた。一方で、「語学など国際化への対応能力」や「地域社会の知識やボランティアなどによる社会参加体験」が2割台。「もっと学んでおけばよかったと思う能力や知識」では、語学が5割、情報技術(IT)の能力が4割と高かった。

 また同協会は今春、全国の4校で個別の調査も実施した。このうち、私立高知工科大学高知県香美市)では、ウェブから回答する形で、同世代に同様の調査を実施。225人から有効回答を得た。

 総合評価では、5項目とも私大平均を上回り、「人間形成が図れた」「母校への受験を薦めたい」「大学教育が役立っている」の4項目は肯定的な回答が6割を超えた。

 教育内容などの個別項目では、29項目中18項目で私大の平均以上。「教員との交流が多い」(83%)、「少人数指導が受けられる」(79%)、「地域社会との交流が深い」(72%)などが高かった。

 佐久間健人学長(67)は「重点的に取り組んできた少人数教育や教員との密な交流を実感してもらえた。よさを守り続けたい」と話した。

 同協会ではこうした個別調査の委託も受けている。西田一郎常務理事(前国際基督教大副学長)は「調査を授業やカリキュラムの改善に役立ててほしい」としている。(中西茂、松本美奈

(2008年11月11日 読売新聞)