『残業ゼロの1日1箱仕事術』読んだ。箱についての本ではなかったわりにはいい本だった。

残業ゼロの「1日1箱」仕事術

残業ゼロの「1日1箱」仕事術

箱マニアとしては箱と名のつく本が書店に並んでいたら買わねばならない − というわけはなくて、ライフハック界隈の著者の人なので、面白そうで買って読んだ。
まぁ、とくにものすごく新しいことが書いてある本ではなかった。箱についての本ですらないです。箱を買ってこないと実践できないというはなしでもないし、むしろ箱なんて出てこない。
で、じゃなにかというと、「箱」というのは比喩で、そういうイメージで1日の仕事をタスク管理しましょう、というおはなし。で、この本のキモというのは、仕事という形のないものに、そういう具体的物としてのイメージを提供したというところにある。
具体物なので、形があって量がある。1日の時間は有限なので箱の容量は有限。そこにタスクを放り込んでいくと、いっぱいになってしまうし、あふれてしまう。あたりまえのはなしだけれど、そういうことをふつうわたくしたちはやっているわけで、つまり、なんでそういう失敗をしてしまうかというと、仕事を具体物としてイメージ&管理できてないからというわけだ。
具体物としてイメージしてなければ、なんとなく形が無くてフワフワしているので、いくらでも詰め込めそうな気がするし、詰め込まれた仕事を片付けるのもいざとなったら根性で何とかなるような気がするし、さきのことについてはなんとかなるさという気にもなるし、同時に、漠然としたストレスがたまったりする。
具体物としてイメージすることによって、1日の箱の容量が決まり、そこに詰め込めるタスクの量が決まり、あとはそこに詰め込めるものを詰め込んで、それ以上のものは入れない(あたりまえのことだけれど、できることはできるしできないことはできないのだから)、合理的にそこをまず管理して、あとは箱の中の仕事をひとつひとつ片付けていけば、1日の終わりには箱が空っぽになってスッキリ、という、まぁあたりまえのはなし。
あと、この著者は、心理学の人だってことで、「やる気」というのも具体物としてイメージ&管理できる、というふうに話を持っていく。そのへんは、箱というより、「脳内化学物質」というもっともらしいことを書いているけれど、まぁ、これも具体物としてのイメージ、ですね。「やる気=脳内化学物質」は有限なので、「やる気」が出る工夫をしつつ、出た時にジャストで仕事をやれば効率アップ、みたいな。同時に、有限の「やる気」が、なくなってしまえば仕事効率は落ちるので、これも1日の容量は決まっているわけで、それを超えないように、また、休息をしっかりとることによって「やる気=脳内化学物質」が再補充されるので、休むのも仕事術のうち、だらだら残業するのが能ではないのだよ、と。ま、そういう、具体物イメージとしての比喩であるわけです。
で、比喩、イメージ、というのは大事なんで、具体物としてのイメージを持つことが出来れば、マネジメントできますよ、ということで、そのイメージを上手に提供しているという意味で、良い本だと思った。