通勤電車で読む『なぜ「大学は出ておきなさい」と言われるのか』。学生に読ませたい、大学の先生に都合のいいことの書いてある本。

どうせ説教だろうと思ってスルーしていたけれど、学生のレポートで何人かが参照していて、人的資本論とかシグナル理論とかが説明してあるとあったので、読んでみた。説明してあった。
著者は、経済学者で労働経済と教育経済のあいだみたいなことをしてるのかな。同志社の先生。バブル就職世代の最後らへんの人らしい。
で、教育社会学の学歴社会論の授業でいつも、人的資本論は、いちばんさいしょに、いちばんベタで単純で批判のたたき台として紹介するわけで、シグナル理論というのも、もうすこし社会学風なところを強調したスクリーニング理論という感じで紹介するわけで、まぁそのときに、「社会学だとこういう理論はいちばん単純でベタってことなんだけど、経済学のほうではいまだに真顔でやってんだよねえ」みたいなことを言いつつ授業をやるわけで、だからまぁ逆に言うと経済学の人が真顔で人的資本論とか説明してくれると、それはそれで役に立つってのもある。
あと、シグナル理論はともかくとして、人的資本論というのは学校の教師にほとんどいちばん好都合な理屈なので、こんなに切々と、もっともらしく訴える本というのは、ぜひぜひ学生に読ませたくなる。これ読んで心を入れ替えて勉強してくれたらいいなあとか。いやじっさい、社会学なんてお洒落なことを言わず、ベタに勉強するのが、うちあたりのごくふつうの学生には人生上いちばん得なのだ、という気もしなくもない。また、同志社あたりに入学する学生さんたちは微妙に勉強のクセが抜けてなくて、こういうことを説いてもらうと安心してまにうけちゃいやすいのかなあとも思ったり。
なんですが、「これで済んだら難しいこと考えなくていいから人生も教師稼業も教育研究も楽で幸せだなあ」と思わなくもないのだけれど。