- 作者: 盛山和夫
- 出版社/メーカー: 創文社
- 発売日: 1995/09
- メディア: 単行本
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なんか、いきなり市場とか合理的選択とか、ゲーム理論とかなんとか出てきて、なんかそういう方面の人なのか、そうとう合わないかも、と思いつつがまんして流し読んでいたら、おりしもツイッターでナッシュという人が事故で亡くなったというニュース(CNN.co.jp : 米数学者のジョン・ナッシュさんが交通事故死、半生映画化も)を目にして(ごめいふくを)、「ナッシュ均衡」とか書いてあるたびにしんみりした気持ちにちょっとなっていたのが前半のハイライトで、それでも6章めで橋爪ウィトゲンシュタイン/ハートがいきなり出てきて、まぁそういえばこの本、1995年の本で「現代自由学芸叢書」、表紙裏の惹句で著者が「現代自由学芸の騎士」とゴチックで書かれてしまうので有名なシリーズだったわけで、そうか、橋爪言語ゲーム論の存在感があった時期なのかしらん、と思いつつ、がぜん親近感がわき、デュルケームの名前が出てきたりして、ちょっとおもしろいかな?と思いつつ不安にもなってきて、索引など見たらエスノメソドロジーとかガーフィンケルとかは出てこないで、シュッツとかでてきて一次理論と二次理論どうのこうのみたいな話になってくるので、あれれ?と思いつつ、共同主観性とか共有知識とかの話が出てきてバーガー=ルックマンの名前が出てきたときはそうとう観念しかけたけれど、ま、さいごのさいごになって、秩序問題から入るのはまちがいですとかいって制度の経験的研究をしましょう、というオチになってそれなりにあんしんするやら、しかしじゃあさいしょの章とかのゲーム理論とか、あのへんのはなしは(ナッシュさん追悼のいみ以外には)なんだったのかという気もして、まぁ二次理論かどうかはともかくとして最初からエスノメソドロジーをやってたらそこそこわるくないんではないだろうかというか、これだけかっちりとまんべんなく目配りして論を進めた本よりも、ガーフィンケルの乱暴な実験いっぱつのほうがぐっときちゃうよなあ、というのが読後感だったわけである。
まぁ、あと、ところどころに出てくる例が著者の人の日常を思わせて微笑ましい本、というのはあるかも。