『ライク・サムワン・イン・ラブ』。キアロスタミの映画、というか、高梨臨の映画というか加瀬亮の映画というか。

先日、スーパーでやってた中古CD・DVDのワゴンセールを覗いて何枚か買ったうちの一枚。キアロスタミが何故に日本映画を撮っているのだ?と思ったわけである。

内容紹介
桜桃の味』でカンヌ映画祭パルムドールを受賞し、『友だちのうちはどこ?』『オリーブの林をぬけて』『トスカーナの贋作』といった名作を生み出し続けてきた巨匠アッバス・キアロスタミ監督が、東京を舞台に撮り上げた待望の最新作が遂にDVDリリース。監督自身が10年以上も温め続けてきた念願の企画である本作には、人気俳優・加瀬亮や新進気鋭の女優・高梨臨、『冷たい熱帯魚』のでんでんといった実力派キャストに加え、北野武組の撮影監督として世界に名を馳せる柳島克己、是枝裕和監督作の美術監督として知られる磯見俊裕ら、日本を代表するスタッフが集結。細部に至るまで緻密に計算されたキアロスタミ監督の世界観を、見事に映像化してみせた。また、映画界最高峰の舞台、カンヌ国際映画祭ではメインのコンペティション部門に正式出品。上映後には、実に10分間も鳴り止まないスタンディング・オベーションが会場を包み込み、目の肥えた批評家や映画ファンからも熱狂的に迎え入れられた。キアロスタミ監督70歳にして、まさに最高傑作の誕生である。
≪STORY≫
84 歳、 か り そ め の 恋 を 夢 み た。
84歳、元大学教授のタカシ(奥野匡)は、亡き妻に似た若い女性・明子(高梨臨)を、デートクラブを通して家に招いた。整えられたダイニングテーブルには、タカシによってワインと桜海老のスープが準備されるが、まどろむ明子は手をつけようとしない。明子はむしろ、彼女に会うために上京してきた祖母に会えず、駅に置き去りにしてきたことが気にかかっていた。翌朝、明子が通う大学まで車で送ったタカシの前に、彼女の婚約者と名乗るノリアキ(加瀬亮)という青年が現れる。最初はタカシを明子の祖父だと勘違いしていたノリアキだったが、やがて2人の関係を怪しみはじめると、遂には狂気的な行動で明子とタカシを追い詰める。運命の歯車が、廻りだした――。

さて、見てみると、まぁなんというか、↑箱にも書いてある≪STORY≫がほぼぜんぶであって、ていうかこの≪STORY≫でさえ苦労してちょっと盛ってる感じで、「84 歳、 か り そ め の 恋 を 夢 み た。」かどうかというのはいまひとつはっきりしないし、「運命の歯車が、廻りだした――。」というのは厳密に言うとちょっと嘘で、これから廻りだすのかなというところで映画は終わってしまう。それではこの映画は、あっというまに終わってしまう「短い」作品なのかというと、この≪STORY≫では何しろ短篇にしかならないだろうという大方の不安をよそに109分もあるわけで、まぁ、ふつうの二時間ドラマを見るつもりで見ていると、筋がないなあということになる。それで、じゃあ何をやっているのかというと、車を運転しながら喋ったり黙ったりしているというのがひとつあって、『そして人生はつづく』だってそうだったんだから文句言っちゃいかんのではないかという気になる。あとは高梨臨の顔が美人なので間が持った。でまぁ加瀬くんがストーカーっぽいというかDVっぽい彼氏役で、そこはやはり加瀬くんなので終始非常にそれ的な緊張感を放出してて、まぁ映画的には加瀬くんの存在感で緊張感を持たせてた感はある。
そうそう、あと、この「元大学教授」が何の専門だったかというと、高梨臨が大学で専攻してるのと同じということで、それは社会学ということになっててゲッと思った。高梨臨が受けたテストの問題が「進化論を最初に言ったのは」みたいなことだったらしく、それに高梨臨は「デュルーケム」と答えてしまったと、「ルー」にアクセントを置く奇態な発音で訴え、「元大学教授」は、「進化論を最初に言ったのはダーウィン、デュルーケムはダーウインの理論を応用したんだ」などとこれまた「ルー」にアクセントを置きつつ解説したりするので、なんか薄気味悪かったものである。