『なぜあなたは論文が書けないのか?』読んだ。

なぜあなたは論文が書けないのか?

なぜあなたは論文が書けないのか?

なにかの広告かなにかで見かけて読んでみた。読んで気づいたのは、著者の人は医学の人で、出版社もたぶん医学系、なので出てくる例も医学の論文、ということで、そのへんは自分や学生さんの卒論に直接あてはまるということにはならない。のだけれど、理系の論文の書き方ということで、まぁ「理科系の作文技術」的に構造が明快で、それでじつは自分自身が学生のころに「論文の書き方」をさいしょに習ったのは心理学の実験系の卒論のガイダンスかなにか(心理の授業も覗きにいっていたのでたぶんそのとき)で、つまり自分の中で論文のイデアというのはじつは実験系の論文なのだった。なので、いま学生さんにもそのように教えたり卒論指導していたりするわけで、まぁその意味では、思ったよりは遠くないことが書いてある本でもあった。とくに、じっさいに論文の構成に従って書き方の呼吸みたいなものを、架空の大学院生との問答みたいな形でレクチャーしているパートは、なかなかよくて、たとえば「実験結果を淡々と客観的に述べる」のが建前としても、ホンネとしてはやはり自分の言いたい結論に向けてきちんと方向付けた書き方をするほうが読者に親切なわけで、たとえばそのへんの呼吸について書いていたりするので、共感して読めた。