通勤電車で読む『労働・職場調査ガイドブック』。

労働・職場調査ガイドブック

労働・職場調査ガイドブック

エスノメソドロジーの章があるということで。全体が、おおまかには第一部・質的調査と第二部・数量的調査にわかれて、さらにそれぞれについて、インタビュー、エスノグラフィー、エスノメソドロジーライフヒストリー、…というかんじに細かく章が分かれていて説明している。各章の構成も、「1 ねらい」「2 調査・研究の考え方」「3 主な研究事例」「4 私の経験」「5 今後の展望」というふうに統一されている。エスノメソドロジーについては、職場研究の領域で「ワークプレイス研究」をこれからどんどんやっていこう!というふうに押し出されているのがよかった。ほんとにそう思うので。とくに、教育の領域だと、学校の先生方というのは研究授業とか研修とかやりながらなわけなので仕事と研究が近い印象があるし、現職の先生が大学院で勉強しはったり、学会や研究会とか出はったりというのもめずらしくないわけだし、職場研究が直接的に「役立ち」感をもちうるんじゃないかと思っている。自分的にも昔、教職科目の教科書に書かせていただいたときに、エスノグラフィーとかエスノメソドロジーとかワークプレイス研究とかを推すようなことを書いた覚えがある。教職科目の教科書だって、現職の先生が勉強のために読まれることもあるんじゃないかと思いつつ。
それはともかくこの本、じつは第三部・調査の道具を身につける、というのがさいごにくっついていて、文献調べとか調査倫理とか映画やマンガなんかを参照するとか、工場見学ツアーにまじって試飲体験しつつ現場の感じをつかむとか、論文・報告書をまとめるとか産学協同するとか研究会を組織するとか、短い章でいろいろ紹介していて、これもいい。