『小林カツ代と栗原はるみ』。「小林カツ代の革命」の章を読んで通勤電車で涙を浮かべる等。学生さんに勧めるべきか。

書店の棚で見かけて少し気になっていたもののスルーしていたのだが、『「家庭料理」という戦場』という本の種本になってたのをみて、これはと思い読んだ。こっちのほうがいい。
『「家庭料理」という戦場』。ラトゥール本の人が書いた、家庭料理を通じたANT的?家族社会学的?考察。よかった。 - クリッピングとメモ
あと、いろいろなレシピを読み解きながら料理研究家それぞれのカラーを描き出す、というのでいくと、『男のパスタ道』の人のこの本もよかったですな。本書は、著者の人が「作家・生活史研究家」ということで、もうちょっと社会寄り。
『このレシピがすごい!』。散歩先でようやく発見。 - クリッピングとメモ
タイトルには小林カツ代栗原はるみの二人があがっているけれど、じっさいには、ほぼ高度成長期以降の料理研究家の面々をていねいに紹介しつつその背景とか時代・社会の変化とか、女性のありかた(主婦論争とか)とか、ていねいに押さえている。最後の章が『男子ごはん』のケンタロウと栗原心平そしてコウケンテツで、エピローグが高山なおみ
面白くて、また料理を入り口に勉強にもなるので学生さんに勧めるといいと思いつつ、じつは去年ふと学生さん(女子)に聞いて感心したのは、最近の学生さんは料理をするときもレシピ本とか『オレンジページ』とか見ないでネット(スマホ)を見るのだと。なので、料理研究家というプロフェッショナルにフォーカスした本書は、意外に学生さん世代の感覚に合わなくなってるのかもしれないという危惧がなくもない。
そのへんは、『「家庭料理」という戦場』のほうが、クックパッドとかにあらわれている変容までフォローしようとしていて、より現代的な社会を視野に入れてるということかしらん。
あ、でも、やはりこの本で、ひとりひとりの料理研究家について丁寧に書き込んであるのはよくて、とくに「小林カツ代の革命」の章は、まぁ年のせいで涙腺が弱くなってきてることもあり、通勤電車で読んでて涙ぐんでしまった。