「シリーズ ケアをひらく」にはずれなし、で有名な「シリーズ ケアをひらく」の新刊。著者の人は若年性の
レビー小体型認知症の当事者ということで、そこでの経験をていねいに記述している本。いわゆる教科書問題集的な代表的な症状である幻視のほかに、注意障害みたいなはなしとか、嗅覚や味覚の変化とか、時間感覚の変容とか、なんかいろいろな経験が描き出されている。なるほどと思ったのは、このようにして記述していくと、別ものということになっているたとえばいわゆる
発達障害とかとも重なるような経験があると。それは、脳が誤作動、するのだから看板はともかくいずれも重なる部分はでてくるということなわけで、なるほどと。そしてまた、この著者の人はレビー小体症の診断にたどり着く前にながねん「
うつ病」の診断のもとに
抗うつ薬とか
抗不安薬とかをたくさん飲んでいたのだそうで、まぁ、あとからすればその薬の副作用だったのかもしれないとてもしんどい年月をへて、主治医の先生が代わってふと、「
うつ病」の薬をやめたら多くのしんどい状態がなくなった、というようなサイドストーリーもあり、まぁしかしそこからあらためてレビー小体症との付き合いがはじまるわけで、まぁだからこの本の終わりのほうは、お医者さんとなんでも話し合って相談しようという話になっててそれはそうなのだなというかんじ。そして「エピローグ」はなんか、現実と幻想とが滲みあうような、時間とは、記憶とは、何だったのかみたいな、不思議な余韻を残す印象的な小文。ところで、この著者の人、「
ためしてガッテン」に、当事者として出演してた人だってことで、それなら見たことあるかも。また、
VRで
レビー小体型認知症の幻視を体験するというのの開発に協力したということで、それもニュースとか「
ためしてガッテン」とかで見たなあという覚えがある。自分のレビーの知識の一端はこの著者の人の発信だったのかと。