通勤電車で読む『教え学ぶ技術』。

苅谷先生が、オックスフォードでやってる「チュートリアル」を、新書で日本語で再現してみせるという本。第一部が学部のチュートリアル、第二部が大学院のスーパーヴァイズ、ということのよう。で、いずれも教員が学生と対話しながらすすめていくということで、へー、と思うわけである。何冊も指定参考文献として専門書や論文を読んだうえで、それをふまえて与えられたお題に答える小論文を作成する、という宿題をやってきて、それをネタに教員がああだこうだ突っ込んだりしつつ、問いの立て方とか議論の展開の仕方とかを指導する、と。へー、これはすごいものだなあ、こんな立派なことはできないわ、と感心するわけであるが、まぁ種明かしとしては、この新書、学生役がオックスフォードでロジャー・グッドマンのところで修士を取っていま翻訳や執筆をやってる人(グッドマン『日本の私立大学はなぜ生き残るのか』の訳者のひとなのだな)。まぁね、それなら成立するわな。なぜ、これを「日本のふつうの大学生」でやらなかったのかなあと、苅谷先生の教え学ぶ技術というのを見習いたい大学教員はじぶんふくめやまほどいるわけで、せっかくなのでそういう私たちの日々のしごとの参考になるようなものがよみたかったなあ、と、まぁこれは本の企画のもんだいだけれど、思った。まぁそれでいけば、第二部のほうは、大学院生が研究テーマをみつけるさいしょのところで、まぁ練習もかねて思い付きの疑問みたいなものをぱぱっとみっつぐらい挙げて仮にそれを展開するとすればというていで教員がああだこうだ突っ込んだりしつつ指導する、というので、これは、じぶんふくめふつうに卒論の指導でやるっていうか、つい先日も3回生を相手にそんなことをやってたばかり。むしろいちばん楽しいところですよね。思い付きにああだこうだ言って膨らませていくのはたのしい。