通勤電車で読む『大学4年間の社会学が10時間でざっと学べる』。乗れなかった。

帯に「この社会の原理を東京大学ではどう教えているのか?」と書いてあり、表紙の折り返しのところに「東大の社会学が「ざっと」身につきます!」と大書してあるので、えー、東大では東大用の社会学ってのがあるのかあ、うちの大学ではスタンダードな社会学を教えてるんだけどさすが東大ひとあじちがうなあ、ちょっと見てみたいなあと思いながら読み始めるわけだが、最初の項で「まず、社会学(者)は〈社会〉は個人の集まりであると考えます」と書いてあってそこで乗れなかった。じぶんは「社会学(者)は〈社会〉は個人の集まりではないナニモノカであると考えるよ」というふうに勉強したし授業でもそう言ってるので。えーとこういうのは入り口が重要で、「〈社会〉は個人の集まり」を入り口にしたら、そのあといくら相互行為とか創発特性とかシステムとかいろいろ言っても非社会学的な通念に翻訳されて理解されてしまうもんだと思ってる。この本の「はじめに」のさいしょに「とにかく、腑に落ちる」と書いてあるように、社会学に触れたことのない人の通念に合わせていろいろな単語や社会学者の横顔が「とにかく、腑に落ちる」ようにざっと書いてある、みたいな狙いの本。