通勤電車で読む『日本の居酒屋文化』。サードプレイス本の解説を書いていた人の新書。

先日、『サードプレイス』(https://k-i-t.hatenablog.com/entry/2022/05/24/113838)を読んでたら解説のほうに納得感があって、たしかにあの本はノスタルジー的なところがあったし欧米だけが視野に入ってたところがあったわけで、じゃあその解説の人の本を読もうとなるわけで、日本のリアルタイムのサードプレイスとしての「居酒屋」に注目するよという著者の新書本。でまぁ、もう少しサードプレイス論をごりごりやるのかと思っていたら、居酒屋をふくめた日本の酒場について、いろいろ紹介しながら特性を語っている。サードプレイスという言葉ももちろん出てくるのだけれど、この本で正面から日本版サードプレイス論を展開しますというかんじではなさそう。たとえば、居酒屋というのは、仕事帰りにほっと一息できる小さな居場所、というかんじで、電車通勤の途中で立ち寄るみたいなところだとすれば、『サードプレイス』でいうようなコミュニティ形成の拠点というかんじでもないし、そもそも自宅から徒歩で通えるような生活圏内にあるわけでもない。それをサードプレイスと呼ぶことが、元の論者の議論の狭さを修正することになるのか、あるいは、もともとのサードプレイス論の出てきた必然性というかやりたかったことの中心をはずしてしまうことになるのか、まぁちょっとむつかしいところだろう。以前、学生さんがサードプレイス論ということで卒論を書いたときに、どうも世間的にサードプレイスという言葉が広がってると同時に意味もそうとう拡散してるんじゃないかという感触があって、まぁそれはそれで面白い。