さいきんどういうわけやら教育関連のニュースが多く、どういうわけやらそれらのニュースのウラが透けて見えるような気もしてきて、ついつい追い掛け回してはここに貼り付けてひとくさり文句をつけるということをしたくなってくる。
よくない。
追い掛け回しているつもりで引きずられているのである。
知らん顔をするのも重要なことである。
どうせここに私がグダグダ書いたところで天下国家が改善されるわけではない。
泰然として自分のしごとをやること。
フルタイムボランティア、英国には「ギャップイヤー」あり
http://eri.netty.ne.jp/educationnews/2006_10.htm#20_02
英国では、高校卒業前の学力テストで、そのレベルに合った大学に入ることができる。そのまま入学することもできるが、自分の判断で入学を1年延ばし、猶予期間を旅行や就業体験、ボランティアなどに充てることもできる。体験活動を重視する「ギャップイヤー」と呼ばれる慣習だ。安倍首相は著書「美しい国へ」(文春新書)で、大学の入学時期を秋に移し、高校卒業後の3ヵ月間にボランティア活動を義務づけることを提案している。だが、首相の提案を実現するには、ボランティアの自発性についての関係者の考え方が違い、受け入れ態勢の未整備のほか、秋季入学に伴う財政負担など、いくつものハードルがある。教育再生会議がどう結論を出すか、注目される。
[2006年10月20日付 YOMIURI ONLINEより要約]
ちょうどゼミでギャップイヤーについての論文を取り上げて紹介した学生がいたので。
無資格の臨時教員、横浜・山手学院で11か月授業
http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20061023i506.htm
横浜市栄区の中高一貫校、私立山手学院中学・高校(篠崎孝子校長)で教員免許を持っていない男性(37)が臨時教員として、計11か月間、数学の授業をしていたことが23日、わかった。
神奈川県は、教育職員免許法違反にあたるとして、調査している。
同校によると、男性は同市内で個人塾を経営しており、2004年4月、同校教師の紹介で臨時教員に採用され、約3週間数学を教えた。この後、今年7月までの間、教師の産休や休職のたびに断続的に採用され、計11か月間、中学と高校で数学を担当した。
最初の採用面接の際は、口頭で免許を持っていることを確認しただけで、今年4月、正式採用しようとして免許のコピーを求めたところ、当初は拒み、7月末になって、「実は免許を持っていない」と告白、辞職したという。
同校は9月に県に報告、保護者には今月20日に謝罪文を郵送した。篠崎校長は「採用の際にコピーを提出させるという確認を怠った。短期間の代用教員だからという甘さがあった」と弁明。県学事振興課は「初歩的なミスだ。調査結果を踏まえ、助成金の一部不交付も含め、対応を検討したい」としている。
山手学院は1966年創立。男女共学校で、生徒数は中学、高校で計約1700人。
(2006年10月23日15時2分 読売新聞)
このニュース、逆に、
「なあんだ、免許なんてほんとはなくても授業できるし正式採用の実力だってあるんじゃん、塾の先生も学校教員も違いないじゃん、だったら規制緩和して実力のある教師が子どもに教えたほうがいいじゃん」
というふうにのちのち使われそうな気がする。
教育Q&A「外国を侮辱する暴言を吐く息子」
http://www.yomiuri.co.jp/kyoiku/qanda/consul/20061020wn02.htm?from=os2
質問 兵庫県、女性
高校1年生の息子のことでご相談します。テレビで北朝鮮や中国などの外国の報道をみては、両国をはじめ外国を酷評し、最後には「あんな国なんか無くなっちまえ」などと暴言を吐き、聞くに耐えません。「他人を悪く言うのはよくないよ」と親の気持ちは伝えてきましたが、これに関しては反抗的態度を取るばかりです。先日父親が厳しく指摘したら、激しく反抗し取っ組み合いになりそうでした。外でおおっぴらにこのような発言はしていないと思いますが、このような狭い了見では、とても人様とは上手くやっていけないだろうと心配です。息子の言動をどのように考え、どのように接して行けばよいでしょうか。
回答 大阪学院大学助教授 加茂 英司
お母様の心配はもっともであり、さぞかしご心痛のことと察せられます。ひとつ息子さんに確認していただきたいのですが、息子さん自身、もしくは親しい友人などが直接に北朝鮮や中国の方と、これまでに何らかのトラブルがあったのでしょうか。例えばけんかをふっかけられたとか、恐喝されたとか。そうであれば話はわかりやすいのですが、息子さんが北朝鮮や中国のことを悪く言っているのは単にそれらを批判しやすいからに過ぎないのであって、とりたてて北朝鮮や中国とはなんら関係がないでしょう。
むしろ息子さんが荒れている原因は何か別のことでストレスを感じているからだと思われます。学校の勉強についていけないという問題も考えられますが、最も一般的なケースは、新しく進学した高校で友達が出来にくいという人間関係のつまづきです。おっしゃっているような「このような狭い了見では、とても人様とは上手くやっていけないだろう」ではなく、「人様と上手くやっていけないから、このような狭い了見になる」のです。順序が逆です。
ただ学校内での人間関係といっても複雑です。単純に友達がいないのか、それとも親しい友達がいたけれども何かの際にうまくいかなくなったのか、あるいは異性問題なのか。そのあたりはきわめてプライベートな問題で、聞いても正直に答えてくれないのが普通です。学校の先生に聞いてもわからないと言われます。多くの場合、息子さんが一人で悩んで一人で解決していくのを、周りの大人達はただ遠巻きに見守るしかありません。
これでは相談の回答にならないので私なりに提言できることを申し上げますと、「お母さんはそのことを心配しているのよ」というシグナルを送ってあげることで息子さんの気持ちはずいぶんと楽になると思います。答えてくれなくても、友達のことを聞いてあげてください。息子さんがお母さんのシグナルを受け止めた時、北朝鮮や中国など外国のことはどうでもよくなると思います。
(2006年10月20日 読売新聞)
ま、回答そのものは誰だって思いつくていどのものだけれど、質問がケッサクだったので。
この「高1の息子」っていうのがじつは、ウソで、じつはだれそれのことだったりして、というふうな冗談を思いつくのだけれど、そのだれそれの部分というのは誰でもよくて、たとえばはてなのキーワードで北朝鮮、というのをたどってでてくる本やら日記やらを読んでみたらホクホクとたくさん出てくるに決まっているのだけれど、わたしはなんやかんやいって大人なのでただ遠巻きに見守るしかないっていうか見ませんよアホくさいじゃん。
安倍首相が導入を掲げる「教育バウチャー」って何?
http://benesse.jp/blog/20061024/p1.html
安倍首相が導入を掲げる「教育バウチャー」って何?[教育動向] 斎藤剛史
2006/10/24 17:00:00
安倍晋三首相が教育改革の検討課題の一つとして掲げている「教育バウチャー制度」が注目を集めています。10月18日に発足した首相直属の機関である教育再生会議(座長・野依良治理化学研究所理事長)でも今後、教育バウチャー制度の導入が検討されることになりそうです。いったい教育バウチャーとは、どのような制度で、導入されればどのような影響があるのでしょうか。
教育バウチャー制度とは、子どもをもつ家庭にバウチャー(Voucher)という一種の現金引換え券を交付したうえで、保護者や子どもが自由に学校を選択し、学校は集まったバウチャーの数に応じて行政から学校運営費を受け取るという仕組みです。教育バウチャーの実施例では、米国のウィスコンシン州ミルウォーキー市、オハイオ州クリーブランド市、フロリダ州などがありますが、いずれも低所得層や極端に教育環境が悪い学校に通う子どもなどを対象にしたもので、一種の社会格差是正策として導入されています。
これに対して現在の教育バウチャーの論議は、所得などに関係なく一律に子どもをもつ家庭にバウチャーを配布することを前提としているようです。教育バウチャーの利点としては、(1)国公私立学校を問わず適用することで、家庭の授業料負担などの公私格差が解消される (2)国公私立学校を問わず自由に保護者や子どもが学校を選択することができるようになる (3)集まったバウチャーの数に応じて学校運営費が交付されるので、学校はより多くの子どもを集めるため努力し教育の質が上がる……などが挙げられています。教育バウチャー制度は、選択の自由、自由競争による質の向上という規制緩和の考え方が背景にあると言ってよいでしょう。
授業料などの公私格差がなくなり、国公私立の区別なく学校を自由に選べるようになるなど子どもをもつ家庭にとって、教育バウチャーは魅力的な面を多くもっています。ただし、一部の人気校だけに予算が集中し学校間の格差が拡大する、保護者や子どもに迎合する学校が増えて逆に教育が荒廃する、地理的に学校選択が困難な地方部と自由に学校選択できる都市部の教育格差が広がるなどのデメリットも指摘されており、文部科学省は教育バウチャー制度の導入に慎重な姿勢を示しています。政府与党である自民党のなかでは、積極的推進派の議員もいれば、反対派の議員もおり、意見はまとまっていないようです。
いずれにしろ、一つの制度にはメリットとデメリットの両方があります。教育バウチャー制度の導入が、現在の学校にとって得か損かではなく、保護者や子どもにどんなメリットがあるのか、デメリットがあるとすればそれは克服可能なのか、という視点で教育再生会議には議論してほしいものです。また、全国一律での導入が難しければ、通学のための交通網が整備されていて公私立問わず学校選択が可能な都市部において、地方自治体の判断で導入できるようにするというのも方法の一つでしょう。
↓
べつの説明。(財)自治体国際化協会のサイトより。
http://www.clair.or.jp/j/forum/forum/jimusyo/151NY/INDEX.HTM
はじめに
アメリカでは、ブッシュ大統領が選挙時から公約として掲げていた教育改革は、包括的教育法案として議会を通過し今年1月に成立した。
その内容は、(1)連邦政府の補助金の使途について、州や各地区の裁量範囲を拡大する。(2)州政府に、3年生から8年生までの「読み書き」および「数学」の統一テストの実施を義務づける。(3)各学校にはテストの成績の目標が示され、基準に達しない学校には連邦政府から補助金が出されるが、それでも改善されない場合は、その学校の生徒は公費で別の公立学校に転校させることを認める。また、十分な改善が4年続けて見られない学校の教職員とカリキュラムを変更することを認める。――などである。
地域、人種間の学力格差が問題視される中、貧しい家庭の子どもを多く抱える大都市を中心に連邦の補助金を厚く支給し、学校運営の自由を保障したうえで、教育関係者の結果責任を問う内容となっている。
一方、ブッシュ大統領は議会の抵抗に遭い、この法案を通すため、大きな柱のひとつであった「教育バウチャー制度」の導入を見送らざるを得なかった。
今回は、この「教育バウチャー制度」について簡単に説明したいと思う。
教育バウチャーとは
教育バウチャー(Education Voucher)とは、政府が父母に対して私立学校の授業料に充当できる一定額の現金引換券(バウチャー)を支給することにより、私立学校選択を支援するとともに、公立学校と私立学校との間に競争原理を働かせ、公立学校改善を促そうとする制度である。つまり、生徒を奪われたくない公立学校は自主的に教育環境を整えざるを得ないことになる。
教育バウチャーの起源は、経済学者フリードマンが1962年に著した「資本主義と自由」にさかのぼることができる。フリードマンは両親に公立学校の教育費と等しい額面のバウチャーが政府から支給されれば、このバウチャーは子どもが入学した公立・私立の学校教育費に充当されるため、両親は子どもを希望する学校へ転校させることによって、転校前の学校に不満を表明することができるとした。
政府によって換金されるバウチャーのもと、生徒獲得のため、その要望を満たす多様な学校が設立され、学校間の競争が起こり、教育の質向上が促されると考えた。この場合の政府の役割は、学校が一定基準を満たすことを保証することに限定される。
教育バウチャー制度の事例
教育バウチャー制度は現在、ウィスコンシン州ミルウォーキー市、オハイオ州クリーブランド市、フロリダ州で導入されている。
1 ウィスコンシン州ミルウォーキー市
1990年にウィスコンシン州が創設したもので、家庭の所得が公的困窮レベルの1.75倍(4人世帯で年間3万193ドル)以下の幼稚園児から高校3年生までを対象に、生徒1人につき5553ドルを上限にバウチャーを支給している。現在、対象生徒数は約9600人である。
2 オハイオ州クリーブランド市
1996年にオハイオ州が創設したもので、家庭の所得が公的困窮レベルの2倍(4人世帯で年間3万5330ドル)以下の幼稚園児から中学2年生までを対象に、生徒1人につき2250ドルを上限に支給している。現在、対象生徒数は約4300人であり、もともと私立学校に在籍する生徒も対象としている。
3 フロリダ州
1999年に創設され、州規模で実施されるものとしては初めてのものである。同州の全公立学校に対し5段階評価が行われ、落第の評価を4年間のうち2年受けた公立学校に通う生徒に対し、生徒1人につき3472ドルを上限にバウチャーを支給している。現在、対象生徒数は約130人である。
教育バウチャー制度の論点
1 政教分離違反
バウチャーが宗教系私立学校に使用される場合には、合衆国憲法修正第1条が禁止する「国教の樹立(政府の宗教介入)」にあたるとして、現在裁判で係争中である。特にクリーブランド市の場合、生徒1人に支給される額があまりに少なく、一般の私立学校や郊外の公立学校に通うことができないため、結局、受給者の大半がカトリック系の私立学校に通っているのが現状である。また、クリーブランドの場合、従来から宗教系の学校に通っている生徒もバウチャー支給の対象となっており、結果的には宗教団体に対する間接的な公金支出にあたると反対派は指摘している。
*本件に関する判例は、以下のとおりであるが、最終的な確定には至っていない。
ミルウォーキー市では1998年6月の州最高裁判決で合憲とされ、同年に連邦最高裁は上訴を棄却(門前払い)としたので、合法的な制度として存続。フロリダ州では、2000年10月の州高等裁判所判決で、州憲法の教育条項には違反しないとバウチャーを認めたが、憲法の国教条項については判断を下さず、1 審に差し戻している。フロリダ州のケースでは、まだ連邦裁判所の判断は示されていない。クリーブランド市では、2000年12月、連邦高等裁判所判決が国教条項違反で、違憲判決を下した。
2 コスト負担
私立学校にも公的財源を与えるということは、公立学校へ向けられるべき財源の希薄化を招くことになる。公立学校生徒が私立学校へ転出しても、公立学校の運営経費はそれに比例して減少しないので、公立学校に取り残された子どもの教育環境を悪化させることになる。また、バウチャー制度創設・運営自体に行政経費がかかる。今回、ブッシュの支持するバウチャー制度に議会側が懸念を示した大きな理由は、制度導入に伴う教育費の増加であった。
3 教育成果
バウチャー制度導入により、生徒の出席率と両親の満足度の向上は報告されているが、バウチャー制度が生徒の学力到達度を改善するためのプログラムとして、決定的な決め手になる証拠はまだ示されていない。これについては推進派、反対派、双方が調査を行っているが、信頼できるデータが不足しているのが現状である。また、公立学校に残された生徒への影響について信頼できる研究もまだない。このことは成果測定の困難さを示すとともに、バウチャー賛否両陣営の論争をあおる原因となっている。
おわりに
クリーブランド市の教育バウチャー制度に関する連邦最高裁判所の判決が、本年6月に出る見通しとなっている。ブッシュ大統領が教育バウチャー制度の提案を取り下げたことにより、一時ほどの勢いはなくなっているが、判決いかんによっては推進派が息を吹き返すこともありえる。
アメリカではこれまで生徒の学力向上のために様々な取組みがなされてきたが、いずれも著しい効果をあげるには至らなかった。日本でも「教育改革」が叫ばれる中、今後、バウチャー制度がどうなるにしても、アメリカの教育改革の行方は注目に値する。
ニューヨーク事務所所長補佐 荒木敬輔
↓
文部科学省「教育バウチャーに関する研究会」
教育バウチャーに関する研究会:文部科学省
さる掲示板の書き込み。福岡の事件の教師と自殺の因果関係が薄いとか濃いとかのうわさ。
71 :名無しさん@社会人:2006/10/19(木) 00:50:16
2chはイジメられっ子の巣窟だから、
こういう事件が起きると、必ず発狂して、魔女狩りに熱中するよな(笑)
で、今回は都合良く、1年次の担任教師が標的にされちゃったわけだ。
おまえら、もうちょっと冷静になって考えてみろ。
この先生は、そこまで責められなきゃいけないのか?
・元担任は自殺生徒だけじゃなく他の生徒も色々からかったりしていた
・イチゴを使ったランクづけでは、自殺生徒はいいランクだった
・自殺した生徒の遺書には、教師のことは一切書かれていない
・自殺したのは担任が代わって、さらに半年後
・元担任は生徒たちの評判もよく人気者だった
・自殺した生徒は小学校時代にもイジメを受けていた
このように、事実関係を冷静に分析すれば、
この教師と自殺との因果関係は極めて薄いことがよく分かる。
おまいら、魔女狩りみたいな下らないことはやめて、もっと大局的に見ろよ。
今回の事件を大げさにしたいのは誰か?
教育現場のささいな失態をことさら強調することで、
教育基本法改正に持って行きたい安倍政権の思惑が見え隠れするとは思わないか?
72 :名無しさん@社会人:2006/10/19(木) 16:08:28
>>71
教師が標的にされていることに対する指摘はうなづけるけど、
「関係が薄い」ってのは明らかに違う。
・担任なんだから(担任じゃなくても教師としても)クラスのイジメに責任を持つべき。あたりまえ。
・被害者を救えなかったばかりか、被害者の絶望に拍車をかけてしまった(かもしれない)。
・多感時期にある生徒に対する接し方としては、あまりにデリカシーが無さ過ぎる。
(こういった教師は人気者になるかもしれないが、片方で嫌われる可能性もある)
やはり問題視されてもいいと思う。
それに、こんな先生っていっぱいいるし。
73 :名無しさん@社会人:2006/10/20(金) 13:00:00
まぁ、イジメ批判側も安易な悪者探しに陥りがちではある。
かといって「みんなの責任」に帰すだけでは、責任の所在を曖昧にするだけ。
あらかじめ教師の責任の範囲をはっきりさせるようにするしかないだろうね。
74 :名無しさん@社会人:2006/10/20(金) 14:44:20
教師も生徒も含めて学校という社会環境そのものの構造的な病だな。
担任の教師による教室での魔女裁判にかけられた当時小学5年生の少年が
『マー先のバカ』と書き遺して自殺した事件を思い起こす。
http://www.amazon.co.jp/gp/product/4806803146
必修履修せず197人卒業ピンチ 富山・高岡南高
http://www.asahi.com/national/update/1024/TKY200610240180.html
必修履修せず197人卒業ピンチ 富山・高岡南高
2006年10月24日12時18分
富山県立高岡南高校(篠田伸雅校長、高岡市戸出町)で、地理歴史教科を選択制としたため、3年生197人全員が卒業に必要な科目を履修していなかったことが24日、わかった。同校は県教委とともに卒業資格取得のための方策を協議している。
同校や県教委によると、学習指導要領では世界史、日本史、地理の3教科から2教科を選ぶことになっていて、世界史は必修となっている。しかし、同校では昨年春ごろ生徒から「受験に必要な教科だけにしたい」との声が上がり、昨年度は3教科から1教科だけの選択でも可能とするようにした。その結果、世界史を履修していないなど、3年生全員が卒業資格を取得していなかったという。
県教委は全員が卒業資格を得られるよう、冬季講習などで集中的に補習を行うことなどを検討している。篠田校長は「生徒に対し、申し訳なかった。十分説明してできるだけ負担にならないよう対応していきたい」と話している。
文部科学省によると、履修には50分の授業が70回必要で、時間数を確保できれば卒業は可能という。