「泣きやまない」が引き金 児童虐待死の3割占める

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20050428-00000173-kyodo-soci

2003年7−12月に親らの虐待で亡くなった全国の子供25人のうち、40%以上は頭や顔に暴力を受けたことが死因となり、全体の約30%は「泣きやまない」ことが虐待の引き金となっていたことが28日、厚生労働省の専門委員会の検証で分かった。
 半数は児童相談所がかかわっていたのに防げず、子供を預かる児童福祉施設が足りないため、親元に帰してしまったケースも目立った。厚労省はこの結果を都道府県に周知し、再発防止に役立てる。
 死亡事例の検証はこれまで、自治体が把握した情報を厚労省が集計していたが、事件が後を絶たないため昨年10月に専門委を設置。今回が初めての結果報告となった。
共同通信) - 4月28日18時3分更新


東京都福祉保健局「児童虐待の実態」
http://www.fukushihoken.metro.tokyo.jp/press_reles/2001/pr1005.htm

児童虐待の実態(白書)のポイント

 【概 況】

(趣旨)
1 全国で初めて、児童相談所が取り扱った全事例を詳しく分析した、児童虐待白書とも言うべき実態調査

(通報件数増大の理由)
2 児童相談所への通報件数は、この10年間で15.4倍になっているが、近隣・知人による通報など社会の関心の高まりから来る「掘り起こし」の要素が大きいものと思われる。
 また、「近隣・知人」からの通報のうち、4割以上は「非該当」。

(虐待を受けた子どもの人数、年齢)
3 虐待を受けた子どもは、1,242人。都内の子ども1,000人に対し0.7人の割合。2歳から8歳の子どもが6割(子育てのあせりやとまどいなどが原因)。

(虐待の種類、重症度)
4 打撲傷やあざなど「身体的虐待」が約半数で最も多い。「軽度虐待」など比較的軽症の虐待が約54%を占める。

(「生命の危機あり」ケース)
5 「生命の危機あり」のケースが36件(全体の3%)あり、そのうち20件は家庭にいる乳幼児。適切な介入により、児童を救済。

【虐待を受けた子ども、虐待を行った親、家庭の状況】

(虐待を受けた子どもの心理的状況)
6 虐待を受けた子どもは、虐待の種類を問わず、不安や怯え、うつ状態などの「情緒的・心理的問題」を示すことが多い(「身体的虐待」では、約26%に出現)。

(親と同居の意向の有無)
7 虐待を受けても、虐待を行った親と同居を希望する子どもは、拒否している子どもより多く、親子分離しても再統合に向けての対応が重要。

(虐待者)
8 虐待者は、実母が約59%、実父が約24%、養・継父等(約5%)は実父の5分の1と多い。養・継父等では比較的若い年齢の者が、母の連れ子との関係がうまくつくれず、特に幼児の場合重症な虐待にいたる例が見られる。

(虐待者の有業率)
9 実父の有業率は約72%で、都全体の世帯より約14%低く、「経済的問題」が他の要因と複雑にからまり、虐待の主な要因の一つとなっている。
 女性も有業率は都全体より低く、「女性の社会進出が虐待につながる」との見方には結びつかない。

(家庭の特徴)
10 虐待は、両親のどちらかと子どもだけのひとり親家庭での出現率が高い。三世代家族は、都全体の世帯の構成比の半分と極めて少ない。

(親の生育歴、子どもの要因)
11 親の生育歴や子どもの要因で決定的な要因となるものは見当たらない。よく言われる「虐待の世代間連鎖」や「望まれずに出生」は多くない。

(虐待の認識)
12 虐待を行っても、それを認めない親が多い。特に男性には認めない者が多く、行為は認めても「しつけ」と主張するものが多い。

児童相談所の処遇の内容】

(処遇の内容)
13 児童相談所が一時保護した子どもは301人で、全体の人数1,242人の4分の1にあたる。このうち約7割の子どもが親子分離が必要となり施設入所。

(指導・援助への反応)
14 虐待した親で、児童相談所による親子関係の修復の指導に応じる者は約40%。指導に全く応じない者は約18%。児童相談所と関係機関との役割分担と連携による家庭への援助が必要。

【分析結果からの展望】

15 1) 虐待の予防・防止から親子のケアまで総合的な取り組みのため、子どもと家庭を取り巻く身近なところで支援していく仕組みを構築することが必要。
2) 緊急の対応として親子分離を行う必要がある場合でも、親子の再統合を視野に入れて、家庭全体を対象とする取り組みが必要。
3) 「虐待」という言葉にいたずらに不安をかきたてられることなく、親子が向き合い、葛藤する中で子どもも親も成長していくというあたり前 の関係を結びつづけることが重要。