学校別成績、公表せず…全国学力テスト

http://www.yomiuri.co.jp/kyoiku/news/20060325ur01.htm

学校別成績、公表せず…全国学力テスト
 文部科学省が2007年度から小6と中3の児童生徒を対象に実施する「全国学力テスト」について、同省の専門家会議は24日、成績を市町村別や学校別に公表すべきでないとする中間報告をまとめた。

 地域や学校の序列化や競争過熱が懸念されるためで、結果公表は国全体と都道府県ごとの平均正答率や学力分布図などにとどめるよう求めた。同会議は教育関係者らから中間報告に対する意見を聞き、近く最終報告をまとめる。

 中間報告によると、テストは国語と算数・数学の2教科で実施。出題は言語活動や計算力などの基礎的な項目に絞る。記述式の問題も一定割合で導入する。小6が3時間、中3が4時間以内でそれぞれ行い、学習環境や家庭での生活状況などの質問紙調査も併せて実施する。

 結果は各都道府県、区市町村、学校、児童生徒にそれぞれ通知するが、国民への公表は、国全体と都道府県別データにとどめ、第三者が情報公開請求した場合でも「非開示情報」として扱うべきだとしている。

 全国学力テストの実施は保護者の6割強が賛成しており、教育関係者の間には「全国的な位置を知ることは教育改善につながる」「成績の良い学校の取り組みは、他校の参考にもなる」など、学校別成績の公表を求める意見もあるが、専門家会議はマイナス面の影響の方が強いと判断した。

 テストへの参加は、対象学年の全児童生徒(計約240万人)を掲げており、私立の小中学校にも積極的な参加を呼びかける。

 全国学力テスト 子どもたちの学力低下問題を受け、中山文部科学相(当時)が2004年11月に示した教育改革私案で提唱。学力レベルを測り、今後の指導や教育改善に役立てるのが狙いだが、愛知県犬山市は「学力は全国一律のテストで評価できない」として不参加を表明している。

(2006年3月25日 読売新聞)