高校生にとっての職業観は? 「好きな仕事につきたい」傾向 ベネッセ 調べ

http://www.gks.co.jp/2005/s-data/etc/05050601.html

 高校生の「職業観」をさぐる最近、フリーターやニート(Not in Employment, Education or Training)など、若者の就業が問題視されている。近々自分の将来について具体的な方向性を決めていかなくてはならない高校生自身は、「働くこと」をどのように考えているのだろうか。また、仕事選びにおいて何を重視しているのだろうか。ベネッセ未来教育センターでは、高校生の「職業観」を明らかにすることを目的に調査を行った。データからは、自分の興味や関心のある仕事につきたいと考えながら、同時に、生活や収入の安定も求めている高校生の姿が見えてきた。

 
働くことへの意識

 高校生が将来の職業を考えるとき、自分の好きなことを優先させるか、生活の安定を優先させるかで迷うことが多い。「あなたは『働くこと』について、どのように考えていますか」という質問に対する回答から、それをみることができる。図05 −01 のように、一番多い回答は、「好きなことや関心のあることを仕事にしたい」(97.1%、「とても+やや」そう思う割合、以下同様)である。「自分の好きなことから仕事を選ぶ」という考えは、高校生の中に浸透している。

しかし、いつまでも夢を追うというのではない。「気に入る仕事が見つかるまでは、パートやフリーターでもかまわない」とか、「やりたい仕事ができなければ、その職場をやめてもいい」と考えている者は、それぞれ39.1%、36.6%と4 割以下である。「学校を終えたら、働くことは社会の一員として当然のことだ」(75.9%)、「多少妥協しても、とにかく正社員をめざす」(60.3%)と、6 割以上が、正社員としてきちんと働こうという「堅実な」考えをもっている。なるべく、自分の興味や関心のある仕事につけるようにしたいが、それだけにこだわるのではなく、収入や生活の安定もめざし、正社員になれるような職を探したい、と思っている者が多い。フリーターやニート志望は少数である。このように大多数の現代の高校生は、「堅実な」職業観の持ち主だといえる。


フリーターのイメージ

 高校生は、フリーターに対してどのようなイメージをもっているのであろうか。「自由な働き方をしている人」という比較的ポジティブと思われるイメージが75%を超え最も多くなっている。しかし他方で、しかし他方で、「しっかりとした考えをもっている人」や「組織に頼らないで自立している人」は25%を切っており、ネガティブなイメージを持つ者も多い。雇用環境が厳しい現在においても、フリーターに対するイメージが必ずしもネガティブでないのは、「自由に働きたい」という高校生の意識の根強さを示唆しているように思われる。