肥満予防、子供から 厚労省 生活習慣病対策へ食育/『フード・ポリティクス』『デブの帝国』

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20060212-00000007-san-pol

生活習慣病の発症患者の増加が懸念されるため、厚生労働省は来年度から子供の肥満予防対策に乗り出す。生活習慣病の発症は、子供時代の乱れた食生活と生活習慣が影響しているとされ、増え続ける肥満児童の対策で、生活習慣病の発症を予防したい考えだ。
 厚労省の国民栄養調査によると、子供の肥満(標準体重の20%以上)は年々、増加傾向にある。中でも小学生の九−十一歳が顕著で、男児の肥満割合は昭和五十一−五十五年(平均)の8・4%から、二十年後の平成八年−十二年(同)には15・0%へ増加した。
 女児は思春期の十二−十四歳で鈍化傾向があるものの、九−十一歳では、7・5%から12・2%に増えている。
 子供の肥満が増えている背景を具体的に調べるために、厚労省は来年度、全国五つの都道府県で十地区を指定。小中学校の協力を得て、子供の体格(身長や体重)と肥満度、血中の総コレステロール値、中性脂肪値、血糖値など健康状態を調べるとともに、ファストフードの摂取量など、日ごろの食生活と運動習慣などをあわせて調査する。
 調査結果に基づいて、食生活改善に向けた講演会の開催や、飲食店に小冊子を配置するなど、地区内で食生活の改善運動などに取り組んでもらう。
 厚労省は、子供たちを生活習慣病予備軍にさせないために、早い時期での食育(食の教育)が重要とし、平成二十三年度までに肥満の小中学生を7%以下に減らす目標を設定し、対策に乗り出す。
 また、女児や女子生徒の中には「細身願望」から無理なダイエットに走るケースもみられるため、絶食など極端なダイエットも避けるよう指導していく方針だ。
 最近の研究で、肥満の男児(十二歳)には総コレステロール値と血圧の関係に異常が多いことが分かってきた。生活習慣病の予備軍化が懸念されている。
     ◇
 生活習慣病に詳しい寺本民生・帝京大学医学部教授(内科)の話 「子供のころに身についた食事などの生活習慣は大人になっても変わらず、いったん身についた悪習慣の改善は難しいだけに、小中学生の時期のきちんとした食育が必要だ」
産経新聞) - 2月12日2時51分更新

いつも思うのだけれど、
肥満人口の増加というのは、基本的にシステムの次元のもんだいであって、
食品産業の供給する総カロリー量(≒人間が摂取するカロリー量)と、人間による総消費カロリー量(は、システムの発展によってどんどん小さくなっていく)とのかねあいであるわけで、
だから、マクロ政策でもって対策を立てないと(どうやってかはわからないけどね)、理屈に合わないような気はする
けど、対策は個々人の「健康リテラシー」とかにゆだねられて、
けっきょくしわ寄せが教育にくるのだなあ、と。

んな事を考えつつ検索をかけていたら、こんな本が見つかった。

フード・ポリティクス―肥満社会と食品産業

フード・ポリティクス―肥満社会と食品産業

内容(「BOOK」データベースより)
“もット食べよう!”地球上の半数が飢えるなかで肥満と飽食に突き進む社会。巨大食品ビジネス、政治家、栄養学者が三位一体で描く食生活支配の構図。
内容(「MARC」データベースより)
地球上の半数が飢えるなかで、肥満と飽食に突き進む社会。巨大食品ビジネス、政治家、栄養学者が三位一体で描く食生活支配の構図とは? 不適切な食生活を誘う環境を作り出す上で食品業界が果たしている役割等を考える。
目次
食品業界、そして「もっと食べよう」
第1部 食生活の助言を骨抜きにする
第2部 システムに働きかける
第3部 子どもから儲け、学校を腐敗させる
第4部 サプリメント規制緩和
第5部 テクノフーズの発明
食品選択の政治学
付録 栄養学および栄養研究の問題

デブの帝国―いかにしてアメリカは肥満大国となったのか

デブの帝国―いかにしてアメリカは肥満大国となったのか

From Publishers Weekly
まいた種子は刈り取らなければならない、というわけだ。健康と肥満についての第一人者であるジャーナリストのクリツァーによると、アメリカでは30年ほど前にトウモロコシ栽培が盛んになったという。アメリカ国民に「欲しいと思ったときに欲しいものを」手に入れさせるために、アール・バッツ農務長官は貿易と栽培の規制を撤廃して、アメリカの食料の価格を下げることにした。その結果、安いトウモロコシがどっさり出回り、日本の科学者が「高果糖コーンシロップ」なる安価な甘味料を開発した。この甘味料は食品をおいしそうな見かけにし、同時に風味も加えられるため、たちまちパンや清涼飲料水など、あらゆるものに使われるようになった。これが脂肪蓄積を誘発するらしいことを専門家は無視した。

クリツァーは、ハーパーズ・マガジン誌の特集から生まれた、彼にとって最初の本にあたるこの啓発書で、大量のコーンシロップ(と、これまた安いラード状のパーム油)が、品質や良心を無視して超特大サイズの「バリューセット」を売りつけるファストフードの販売戦略と出合ったときに、何が起きたのかを詳細に述べている。アメリカの軍医総監は肥満は疫病であると宣言している。今やアメリカ人の約61%が標準体重以上で、20%が肥満だ。目下、2型糖尿病(脂肪と関係がある)は子どもの間ですら爆発的に増えている。著者は太り過ぎからくる体の不調をわかりやすく解説し、意識の低さのために、とりわけ貧困層がどのように肥満に陥っていくかを描く。

本書は肥満を防ぐための良き第一歩だ。著者は一般読者のために豊富なデータを示しながら、状況がいかに緊急のものであるかを生き生きと伝え、私たちがスーパーマーケットの清涼飲料水の棚のそばを通るときに思い出さずにはいられない話を教えてくれる。この本は幅広い読者をつかむだろう。
Copyright 2002 Reed Business Information, Inc.

    • このレビューは、同タイトルのハードカバーのレビューから転載されています。

内容(「BOOK」データベースより)
人口の60%以上が肥満の国アメリカ。こんなアメリカに誰がしたのか?あらゆる側面―階層、政治、文化、そして経済に踏み込み、アメリカが世界的な肥満国となったワケを解明。代謝異常の原因である安価なパーム油と果糖の問題。カロリー摂取量と運動量の関係やダイエット法の嘘。多くの家庭にはびこる誤った知識や子どもの糖尿病の増加。さらには肥満と余暇、流行、宗教との関係も独自の視点で分析。「流行性肥満症」が人間、とくに幼い子どもの命を犠牲にしている恐ろしい現実を描き出していく―。

おもしろそう。