
カント 信じるための哲学 「わたし」から「世界」を考える (NHKブックス)
- 作者: 石川輝吉
- 出版社/メーカー: NHK出版
- 発売日: 2009/06/26
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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さいしょのあたりで、「ひとそれぞれ」っていうキーワードはちょっといいなと思っていたけれど、ポストモダンのありがちな悪口を言い始めたあたりで、うわうわうわだめだこりゃ、と思っていたら、カントの話がはじまったらいいかんじになってきたと思った。
ふつうに解説するというよりはもう少し、「要するにカントさんはこう考えてはったはずや、カントさんが言いたかったのは要するにこういうことのはずや、」というかんじにざっくりと整理して書いているかんじで、そのへんがわかりやすい。カントなんだからわかりにくくて正解でわかりやすかったらおかしいだろう、という気もしなくはないけれど。
で、ざあっと読んでさいごに「あとがき」を読んだら、この本、博士論文を本に書きなおしたものということで、構成にあれこれ苦心した挙句、「ひとそれぞれ」というキーワードで導入して構成することにようやく決まった、というふうに書いてあって、なるほどそれで最初の導入部分がやけにとってつけたようなのか、となっとく。
あと、竹田先生の学恩に、みたいなことを書いていて、どうりで帯に竹田青嗣がべた褒めしていたはずだとこれまた納得したのと同時に、ああそうか、世代的に、「わかりたいあなたのための」みたいなノリだからわかりやすいと感じたのか、と思ってちょっと脱力。