『カント 信じるための哲学』悪くないと思ったら・・・

カント 信じるための哲学 「わたし」から「世界」を考える (NHKブックス)

カント 信じるための哲学 「わたし」から「世界」を考える (NHKブックス)

学校で待ち時間があったので商店街の本屋さんで購入したうちの一冊。を、けっこうすぐ読んだ。
さいしょのあたりで、「ひとそれぞれ」っていうキーワードはちょっといいなと思っていたけれど、ポストモダンのありがちな悪口を言い始めたあたりで、うわうわうわだめだこりゃ、と思っていたら、カントの話がはじまったらいいかんじになってきたと思った。
ふつうに解説するというよりはもう少し、「要するにカントさんはこう考えてはったはずや、カントさんが言いたかったのは要するにこういうことのはずや、」というかんじにざっくりと整理して書いているかんじで、そのへんがわかりやすい。カントなんだからわかりにくくて正解でわかりやすかったらおかしいだろう、という気もしなくはないけれど。
で、ざあっと読んでさいごに「あとがき」を読んだら、この本、博士論文を本に書きなおしたものということで、構成にあれこれ苦心した挙句、「ひとそれぞれ」というキーワードで導入して構成することにようやく決まった、というふうに書いてあって、なるほどそれで最初の導入部分がやけにとってつけたようなのか、となっとく。
あと、竹田先生の学恩に、みたいなことを書いていて、どうりで帯に竹田青嗣がべた褒めしていたはずだとこれまた納得したのと同時に、ああそうか、世代的に、「わかりたいあなたのための」みたいなノリだからわかりやすいと感じたのか、と思ってちょっと脱力。