通勤電車で読んでた『フェレンツィの時代: 精神分析を駆け抜けた生涯』。おもしろかった。

フェレンツィの時代: 精神分析を駆け抜けた生涯

フェレンツィの時代: 精神分析を駆け抜けた生涯

初期の精神分析フロイトとともに形成し(のちにフロイトから離れていったりし)た人たちのなかで、ユングとかアドラーとかとともに、フェレンツィという名前もときどき聞いたことありつつ、なんかあんまり知らなかったので、面白そうかなと思って読んだら面白かった。伝記、ということなのだろうけれど、フェレンツィという人の人生の決定的な場面場面を追いつつ、彼がフロイトに惹かれて、精神分析のプリンス、フロイトの後継者と目され、初期の精神分析のグループを支えたりして、そこに第一次大戦が起き、母国ハンガリーが政治的に混乱し、また反ユダヤ主義とともにヒトラーが台頭し、あれやこれやあるなかで、プライベートでもたいがいなことが吹き荒れ、ていうかそれが具体的な人間関係ともからまりあいつつ彼の理論とからまりあい、初期精神分析の動向の中でフェレンツィ本人と彼の理論とを微妙な立場に立たせることになって、なんだかんだで、フェレンツィフロイト精神分析のグループから離れていくことになる。でもって彼と彼の理論は、なんとなく、なかったことみたいにされることにもなる。フェレンツィさん、ごくろうさま、感じのいい人っぽかったのになぁ、初期精神分析の世界で愛憎渦巻いてたいへんだったなぁ、とまぁ、おもしろく読ませるし、精神分析というのの理解もちょっと深まった気がする。