ひきつづき(https://k-i-t.hatenablog.com/entry/2020/11/28/000207 https://k-i-t.hatenablog.com/entry/2020/12/01/093842 https://k-i-t.hatenablog.com/entry/2020/12/02/124730)。しかし2冊ずつ出さないと警察に捕まるんかいな。まぁいい。本書は、心理臨床学会のシンポジウム企画のようで、いろんな流派の分析家・カウンセラーが、じっさいの症例をめぐって、どう見立ててどう介入するかを披露しあいながらディスカッションしたもの。こういう企画は好きなわけで、わたくしはとにかく『症例研究・寂しい女』という本が決定的に良かったので、それと同じ感じではある。ただまぁ、あっちの『寂しい女』のほうが、提示される症例もあるていどしっかり提示されてたし、よかったんだけど。こっちの『交差点』本の、とくに1冊目はちょっと症例の紹介が短くて、ちょっとあやふやで、ちょっととっつきにくい感じもあったんだが(まぁ、それが現実的といえば現実的ということのような気もするにせよ)、2冊目のほうは、紹介される症例がそれぞれ素人目に興味ぶかそう(というのもクライアントさん当人には気の毒やが)で、それに対する各先生のアプローチもおもしろかった。
で、じつはこの本のシンポジウム、このまえのこの(https://k-i-t.hatenablog.com/entry/2020/11/28/000207)講義録の中で言及されてて、ちょうど先日シンポジウムに登壇してきた、おもしろかった、意外にもブリーフセラピーとはあまり合わなかった、意外と精神分析とは話が合った、ユング派は異世界でよくわかんなかった(笑)みたいないじりかたをしてたのだが、いやいや、この伊藤氏が登場するのは2冊目のほうだけれど、まぁ自分が読んだ感想で言えば、伊藤氏はやりたい放題で、ユング派の田中先生は全体の中で謎の注目というか、ブラックホール的な焦点になってて、いいかんじだった。伊藤氏の「スキーマ療法」については、座談会で言及され論評されていたことが、だいたい自分の感じてた線だったので、これもなっとく。ただ、全体として、やはり、いちばんおもてにでてきたのは、流派というよりも一人一人の分析家・カウンセラーの持ち味なのであって、けっきょく、見立ての方向性が全く食い違うみたいなことはほとんどなさそうだし、まぁ介入のやり方にしても、ほとんどおたがい分かるし、実際に自分がこのクライアントを持って実際に会ってみたらそのようにすることもありうる、というかんじになってたのが、まぁそうなるよなあということで、おもしろかった。