Twitterでみかけた「百年後の或る日」というSFアニメ。1933年の素人映像作家の自主製作というのだがさすがにフェイクでしょう。

Twitterのタイムラインで見かけた


で、「1933年に荻野茂二という素人映像作家が自主製作した「百年後の或る日」というSFアニメ」という触れ込みなのだけれど、

主人公の「荻野茂二」は「1942年の世界大戦中」に死んだことになっており、荻野の子孫がその霊魂を呼び出して百年後(2032年)の世界を案内する。
百年後の世界にはテレビが進化した「マジックテレビジョン」が開発されていて、それがタイムマシンにもなっている。原子力で動く火星ロケットや時速八〇〇哩で走る磁力列車(リニアモーターカー)まで出てきて、この萩野茂二という監督は何者なのかと思わされるが、本業は燃料店の経営者だったらしい。

というわけで、これはいくらなんでもフェイクだろう。1933年に存在しなかった世界大戦やテレビや原子力リニアモーターカーがこれみよがしに出てくる。
Tweetでも参照されてるこちらのブログ記事。
ameblo.jp

いや、上映ブースの説明板やパンフレットにある「1933年」という表示自体が間違っているのではないか。1933年ではなくもっとあとにつくられたのではないか。あるいは、1933年につくられはじめたがずっとあとになって完成したのではないか──。そうも考えた。しかし、これは、荻野茂二監督のご遺族からのご寄贈を受けて、東京国立近代美術館フィルムセンター(現・国立映画アーカイブ)が管理・保存しているものである。映画アーカイブのエキスパートぞろいのフィルムセンターが、そんな誤った表記をしたりはしないだろう。しかし、そう思う一方で、こういう考えも頭に浮かぶのである。フィルムセンターは、所蔵・管理する作品の一つひとつを徹底的に調査・研究し、分析しているはずだ。ところがこの映画の不思議さにふれた解説コメントは一切見受けない。お気づきにならないのだろうか。それとも、この映画から奇異なものを感じるのは、たった一人、私だけなのだろうか──と。

まぁ、普通に考えて、これはフェイクか少なくとも間違いかだろうと思うわけだが、じゃあどこでどうなってこうなったのかをついでにちょっと知りたいところではある。