『大砂塵』みた。なるほど異様だなあ。すばらしい。

むかしに録画して、そのとき見たのかどうか、しかしなにはともあれあちこちですごい、異様だ、と書いてあって、それで先日『ショットとは何か』を読んだらまたすごいと書いてあって、これはやはり見ねばということで、見た。なるほど異様だった。異様な色彩(きつい原色…)、異様なサルーン、異様な衣装、もう若くないジョーン・クロフォードともう若くないスターリング・ヘイドンともう若くない悪漢とのぐじぐじした三角関係。もてない女が嫉妬に燃えて町の男たちを扇動しては執拗にジョーン・クロフォードを攻撃する。しじゅう山が爆破されていて、爆煙のなかを馬が走り抜ける。荒野の中に建てられた巨大なサルーンが炎上して崩れ落ちる前をこれまた馬が走り抜ける。純白のドレスを着たジョーン・クロフォードを喪服の男たちがリンチ、縛り首にする。クライマックスはもてない喪服の女とジョーン・クロフォードの対決。なんだこの西部劇。
『映画に目が眩んで 口語篇』で蓮實重彦山田宏一が対談していて、この映画についてたくさん喋っている。山田宏一がしきりに気持ち悪がっていて(その同じ点を)蓮實重彦がよかったとやたらうれしそうに語っている。