通勤電車で読んでた『柄谷行人『力と交換様式』を読む』。
通勤電車で読む新書本ということでしばらく持ち歩いてちょこちょこ読んで、あと下宿で読み終わった。柄谷行人『力と交換様式』という新著をめぐるインタビューとか講演とか、あと書評とかを新書にまとめたもの。でまぁ『力と交換様式』という本としっかり読み合わせようという気まではさしあたりなくて、まぁ気楽に読むわけである。前にやはり新書本で『世界共和国へ』かな?読んだときにへえと思った覚えはあるけどそのときは交換様式とか言ってたっけ、でもたぶん見覚えのあるような議論だなあと思ったので基本線はそのころ言ってたことの延長なのだろう。で、AがあってB,CときたわけだけれどAの高次元の回帰としてDが向こうからやってくるよ、ということを言っている。NAMのときはそれを意識的にやろうとしたけどやはりDは向こうからやってくるんじゃないとうまくないそうで、それはまぁそうとして、でもそれはよくある言い方とあんましかわんないじゃんねえという気もする。まぁ、『力と交換様式』という本をがんばって読んだら議論の内容を詰めてあるんだと思う。でも最終的なオチがそうなら途中の理路を確認したくなるかねえというのもある。書評パートの大澤書評が、以前の柄谷は、他者だとかなんだとか「語りえないこと」があってそこに向けて語ろうとする、そのすごみみたいなのが芸風だったけれど、いまはついにすべてを語っている、すごい、と言っている(たぶん褒めてるんだろう)。それはそんなかんじなんだろうなと納得した、というか、べつにすべてを語ってるといっても「向こうからやってくる」みたいなことを言ってるんだからええかげんなもんやなとも思った。たとえばいまの世の中いろいろたいへんなので5年以内ぐらいにぱあっとDが向こうからやってきてくれないかなあ、どうでしょうか、などといってもこの本にはDが向こうからいつどのようにやってくるとか、書いてないかもだし、向こうからやってくるわけなのでどうやったら自分の期待通りにやってくるかみたいなこともよくわからないかもだし、Dがいきなり来なくてもアーミッシュとか素人の乱みたいのでもおもしろいよとかいうことをいわれると、えーそういう話ですか?という気もしてくるわけだしそれなら松本哉をじかに読んだほうが笑えるぶんいいんじゃないかとも思える。