BAND-MAIDのリアクション動画に手を出している。海外の知らん女子たちがハートを持ってかれてるのを見るのは楽しい。

YouTubeのリアクション動画で、花冷え。のリアクション動画をずっと見ている(https://k-i-t.hatenablog.com/entry/2023/10/23/212456)わけだが、そうするとごく自然に、動画のコメント欄などで、NemophilaとBAND-MAIDとLovebites(と、たまにGacharicSpin)を薦める書き込みを多く目にすることになり、また花冷え。のリアクションをやっている人がそれらのバンドの曲のリアクションをしていることもあり、まぁ、ひととおり見ることになるわけだけれど、まぁまずNemophilaをあれこれ見るようになった。まぁもちろんかっこいいわけだけれど、入り口としてはYouTubeチャンネルの中でたくさんアップされていたカバー曲動画で、古典的な定番ロック曲からK-popまで完全に演りきっているのを見て、これは悪くないと。で、むしろそっち入り口からのオリジナル曲で「RISE」「ZEN」あたりが極めてかっこいい。でまぁ、しばらくそのあたりをいろいろ見ていたのだけれど、そのうちまたBAND-MAIDを見るようになってさいきんはかなり見ている。結成10年ということもあり、曲もたくさんあるしファンの人?の作成したメンバー1人1人のドキュメンタリー動画なんかもあるし、リアクション動画もたくさん出ている。で、やはりリアクション動画というぐらいなので、BAND-MAIDを知らなかったひとがはじめて聴くリアクション動画、というのがおもしろいわけである。聞いたことがない、どうやらジャパンのガールズロックバンドらしい、メイドの恰好をしているんだってさ、ふーん、まぁ聞いてみよう、といってMVを見始めるとたしかにメイドの恰好をした女子たちが映り、あ~了解了解、バンドメイドね、OK?といいながら聞き始めたら、意外にストレートなロックで驚き、演奏と歌がちゃんとしてるんで驚き、ベースやギターやドラムのソロに驚き、気が付いたら呆然と、あるいは夢中に、なっている、というかんじ。でまぁこういうのは、とくに女子が聴いてハートを持ってかれてしまう様子を目撃するのがたのしいにきまってるわけである。だいたい「Domination」の公式ライブ動画を入り口にすべしである。
この↓イギリスかどっかの女子、メイド服のギタリストが映った瞬間に盛り上がり、「鳥肌たった!」といってすでに目がハートになってるわけで、途中から「ガールパワー!!!」とか、「女子なことを誇りに思うわ!」とかいって、エモーショナルになって涙をうかべて盛り上がるわけで、やはりそういうのを見ると多幸感につつまれるわね。
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こちら↓のかたは自身がフルート奏者だということなのだけれど、演奏を見て盛り上がり、盛り上がりながらそのよさを逐一言語化するところがたのしくて、説明しては同じところをリプレイするので1本のリアクション動画でほとんど2回演奏を聴くことになるわけだけれどまぁ楽しい。
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こちら↓は、聞く前はとてもええかげんなかんじなのだけれど、聞き始めたら女子の目がハートになって、「私は小さいころ日本のアニメやマンガをずっと見て育ったわ、ずっとあこがれてた服装をしてバンドをやってるなんてクールすぎる!!」とか言い始め、動画のライブ会場の聴衆といっしょに「ハロー!ハロー!」とか歌い盛り上がる。すてきである。
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こちらの↓おねえさまは、たぶんメタルの人で、「Domination」のMVを聴いて大いに盛りあがってそこからBAND-MAIDがお気に入りになったもよう。演奏のひとつひとつをほめているのはもちろんのこと、女子、ためらわず世界を駆け抜けろ、ロックで世界征服だ、というメッセージにちゃんと共感しているのでぐっとくる。
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こちら↓の女子は「HATE?」という曲の公式ライブ(いまのところいちばん新しく公式にアップされてるもの)を見て、まぁふつうはベースとギターのバトルがすごいとかいうところを、まぁそれは置いておいてひたすら歌詞に共感して盛り上がってるところがおもしろい。この歌詞は私が嫌いなやつに思う気持ちと全く同じだわ!これを私のアンセムにするわ!演奏とかそういうのはいいんだけどそれはこの際置いといて歌詞のことを言うわ!蝶々や虹の歌じゃなくてこれは本当にリアルな歌だわ!とひたすら盛り上がっているので好感が持てるところ。
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とかなんとか、
けっこうきりがないわけである。でまぁこういうのを次々みていると、同じ曲を何回も何回も聴くことになるわけだけれど、まぁ何度聴いてもいいわけで、つまりこちらもたいがいファンになってきてるといっていい。だいたい同じコースをたどるわけで、さいしょは「え~?メイド服?ふ~ん…」みたいな湯加減でいたのが、え?待って待って?となって、リアクション動画の人たちとともに盛り上がるわけである。
BAND-MAIDって、たぶんなんか基本的にはストレートなロックをやっていて、しかし一人一人の技術は高くて、しかもそれをお互い楽しんでやっている、というかんじでとても多幸感がある。YouTubeのコメント欄を見ると、欧米のBAND-MAIDファンは意外にも年配とか高齢のロックファンが多いようで、つまり70-80年代とかのロックで育った人たちが久々に好きになれるバンドらしいのである。ひとつには、「映画を倍速で見る人」的な文脈でロック曲のギターソロなんかを最近のヤングは「ピロピロ」と称してスキップしてしまうというはなしをみかけたことがあるわけで、つまりそうなると、ちゃんとギターやベースやドラムのソロがおこなわれ、あるいはデュエルがおこなわれる、みたいなのはむしろオールドファンを惹きつけるスタイルなのかもしれない。年配のロックファンたちが「30年ぶりにファンになったバンドがまさかメイド服を着ているとは予想をしなかった」とかいってるのを読むとなごむ。
あと、花冷え。との比較でいうと、たぶんNemophilaとかBAND-MAIDのメンバーの多くは音楽専門学校の出身で、つまりかれらの技術が受けているのは、ひとつには日本の専門学校の教育の成果だとも思われるわけである(→いや、修正か。BAND-MAIDのメンバーのうち、リードギター/ソングライターのカナミってひとは大学経済学部卒でニコ動で活動してたのを見つけられてリクルートされたとなってる。音楽専門学校出身は、ベースのミサってひととドラムのアカネってひとだけぽいですね)。それでいうと花冷え。はたぶん主要メンバーの3人が東京の私立中高女子高の同級生で美術部/軽音部だったところからスタートして、その後大学に進学して大学生をやりながら演奏を続け、卒業して今に至る、というかんじ(たぶん)。そのこととかれらの演奏のスタイルをつなげて考えてみることもできるかもしれない。あまりテクニックとか派手なソロとか、ストレートなロックバンドとしての技量とかで売るタイプではないわけで、むしろニコニコ動画TSUTAYAで育ったオタクのスタイルだといえばそう見えてくる。マッシュアップの感覚というか。まぁ知らんけど。
そしてしかしそういういいかたをするならば、花冷え。にせよNemophilaとかBAND-MAIDにせよ、おおまかにいってしまえばおなじようなリアクションをされているわけで、ハードロック、メタル、パンク、ポップロック、EDM、エモ、…とかそういうロック史のさまざまなジャンルがマッシュアップされて短い一曲の中でたくさんのことが起こっている、日本だ、ということになる(そのなかでいえば花冷え。がたぶんいちばん振れ幅が極端なのだろうし、BAND-MAIDは正統なハードロック、ポップロックの範囲内にさしあたりおさまっているように見えるということだろうけれど)。それはちょうど1990年代にジャズの界隈で「新伝承派」と呼ばれる動きがあったのと似たような構図にみえるわけで、後藤雅洋と加藤総夫の対談などを想起するわけである(https://k-i-t.hatenablog.com/entry/20061118/p1)。ウイントン・マルサリスたちがジャズの歴史をアカデミックに学んでスーツなんか着て演奏してるのにたいして、後藤雅洋は違和感を表明するわけで、まぁ作為的で感動がないみたいな。それにたいして加藤総夫が論駁していくわけで、結果的に、ジャズの歴史をアカデミックに学ぼうがジャズ喫茶で学ぼうがおなじことだ、つまり新伝承派をうみだしたのはジャズ喫茶の店主であるあなたたちでないのか、ということになるわけで、いかにも1990年代的な対談だったわけである。でまぁ同様に、ロックの歴史を専門学校で学ぶかTSUTAYAの棚やネットで学ぶかはあるいみ大差ないともいえなくもない。知らんけど。