通勤電車で読んでた『「発達障害かも?」という人のための「生きづらさ」解消ライフハック』『「ついやってしまう」体験のつくりかた』。

『「発達障害かも?」という人のための「生きづらさ」解消ライフハック』のほうは、少し前に読んだ『「脳コワさん」支援ガイド』(https://k-i-t.hatenablog.com/entry/2020/06/22/213111)、『発達障害のある大学生のキャンパスライフサポートブック』(https://k-i-t.hatenablog.com/entry/2020/06/29/145822)の流れで。以前読んだ、『「うつ」とよりそう仕事術』(https://k-i-t.hatenablog.com/entry/20120215/p1)がそうだったが、ライフハックというのは、困りごとをもつ人がうまくやれるようにする工夫というふうにも使えるわけで、困りごとの解決を精神的な問題とか努力の問題とかにしないで即物的な仕掛けで解決しようという姿勢に好感が持てる。『キャンパスサポートブック』をちょっとそういう期待で読んだところがあって、それはちょっと違ったのだけれど、こっちの本はタイトル通りライフハックの本だった。
『「ついやってしまう」体験のつくりかた』のほうは、もと任天堂のひとが、いくつかのゲームに込められている「仕掛け」を読み解きながら、ゲーミフィケ―ションの要諦を説く、みたいな本。アフォーダンスとかね。左側のページはイラストなので、読む分量としては厚さの半分。きがつけばこの本も「即物的な仕掛け」の本だといえるね。

薬師院&薬師院『公共図書館が消滅する日』。よかった。『ひまわり号』とあわせて読む本。

公共図書館が消滅する日

公共図書館が消滅する日

大学の時に、必修科目にたしか図書館学概論があって、2回生のときにとってたんだが、たしか担当の先生は森先生というお名前だったと思うのだけれど、たしかその授業の期末レポートは8000字以上とかで、学生が各自のテーマで書くんだったような覚えがある。それで、たしか授業内で発表するみたいなこともあったかなんかで、そのとき3回生に編入してきた教育社会学コースの先輩が、なぜか図書館における知の分類をフーコーで分析するみたいな、そのとき図書館学概論を受けていた自分には完全によくわからんけど圧倒的に印象的なことをやっていて(あるいは特に面白そうなものを先生が授業内で紹介してたのかもしれない)、それが薬師院さんだったわけである。ちなみにわたくしはそのとき「電子図書館」についてレポートをまとめた覚えがある。それはそれなりにじぶんなりに現在につながってるような気もするけどそれはおいておくとする。
それで月日は流れて、先日ふと、また薬師院さんの新刊が出てないかなと思って調べていたら、出てたので、読んだ。
著者名が、「薬師院仁志・薬師院はるみ」となっていて、薬師院はるみ氏は図書館学がご専門というのは以前から知ってた。なので、著者名を見て、ふむ、共著かあ、だとすると、図書館学の専門論文と社会学の論文が組み合わさって並んでるのかなあ、と予想して読んだら、予想に反して、がっつりとした日本図書館史で、しかもがっつりとした社会学的な日本図書館思想史(デュルケームの『フランス教育思想史』が社会学的なフランス教育思想史であるようないみで)だった。しかも、全編、いつもの薬師院さんの文体で、しかも内容はがっつりと図書館学、しかも言説の歴史というか、作られた神話による日本図書館史をじっくり腰を据えて読み直す、みたいな、これ、どういう共同作業で実現したのかというぐらいの完全な共著である。まいった。
で、内容はというと、じつは去年の今頃じぶんは出張のおともに『移動図書館ひまわり号』を読んですごくよかったと感激していたのだが、
出張のおともは『KING JIM ヒット文具を生み続ける独創のセオリー』『歩いて読みとく地域デザイン』『移動図書館ひまわり号』。『ひまわり号』がよかった。 - クリッピングとメモ
その日野図書館の実践を神話化しながら成立している日本図書館史を、読み直す、で、そこでつくられて維持されているストーリーが見えなくしてしまっている迷走やその結果の最終的な帰結 - つまり「公共図書館が消滅する日」ということになるだろうか - を浮かび上がらせている。『ひまわり号』はエモくて感動的な本だし、たとえばウナギトラベル(https://k-i-t.hatenablog.com/entry/20141204/p1)にも感激したひととして、図書館のぬいぐるみお泊り会なんかの実践もいいなあと思うし、生涯教育の卒論で図書館サービスをテーマにする学生さんとも、そんなことでもりあがったりしていたわけだが、なるほどその文脈というのをみるべしだったのである。
あと、まぁ薬師院さんの文体でもあるけれど、語られた言説の断片を皮肉っぽくアクセントをちょっとずつずらしつつ引用しながら別の絵柄を浮かび上がらせるのが、金井美恵子のエッセイとか『文章教室』とかに近いものを感じさせる。
この本、図書館界からの反応は気になるな。

Amazonのコメントはいま2つあって、図書館関係のひとらしいけどどちらも評価してるね。
あと、感想を書いたブログ記事やTweetもみつかる。
栄光の公共図書館史は偽史だった(いつもよりちょい長) - 29Lib 分館
2020年7月10日 「公共図書館が消滅する日」 薬師院仁志・薬師院はるみ : おいらとJazzと探偵小説(ミステリ)と You and the Jazz and the Mystery

通勤電車で読む『社内プレゼンの資料作成術』『社外プレゼンの資料作成術』。これはよかった。発想が高橋メソッドに近いと感じたので。

社内プレゼンの資料作成術

社内プレゼンの資料作成術

社外プレゼンの資料作成術

社外プレゼンの資料作成術

  • 作者:前田 鎌利
  • 発売日: 2016/02/19
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)
プレゼン術の本もなぜかいろいろ読んで、結論としては、やはり高橋メソッドが自分の規範になってる。高橋メソッドに近いプレゼンは良いプレゼンで、高橋メソッドから遠いプレゼンは悪いプレゼンである、という。で、この2冊、けっこうよかった。文字を大きく、文字数を減らし、スライド一枚の情報を削ってポイントだけに絞り込み、視認性を上げ、スライド一枚の時間を10秒以内に抑え、枚数を増やしてどんどん進む、喋りはうまくなくてもスライド通りに進めばオッケーというところまで作りこんで、全体は3~5分で終わる(あるいは社内プレゼンで「1分で話せ」と言われたら1分で終わる組み換えパターンも)、たとえば社外プレゼンで30分の時間をもらってても説明は3~5分で(一方的な喋りは退屈になるので)、あとの質疑応答のために、本体とべつに補足資料のスライドをしっかりと準備しておく、的な。高橋メソッドのたの字も出てこないけれど、高橋メソッド的な理念にかなりかなってる。パワポで何も考えずに新規スライドを作ろうとすると、画面の上のほうに見出し、その下に項目箇条書き、みたいなデザインがぱっと出てくる。この本に出てくるスライドは、そういうデザインがでてこないというのも気に入った。
2冊あるけど、書かれた順に『社内プレゼン』→『社外プレゼン』と読むのがいい。社内プレゼンは「シンプル&ロジカル」を目指す。合理的に。で、社外プレゼンのほうは、プラス、感情に訴えることを考えないといけない。話を聞こうかなという気にさせないといかんので。おっしゃるとおりである。
この著者の本、ログを見ると一冊だけ読んでたみたい。
通勤電車で読む『最高品質の会議術』。 - クリッピングとメモ
この↑ときには、まぁまぁの感想だったみたい。

通勤電車で読む『子どもにかかわる仕事』。

子どもにかかわる仕事 (岩波ジュニア新書)

子どもにかかわる仕事 (岩波ジュニア新書)

  • 発売日: 2011/05/21
  • メディア: 新書
3月に、学生さんに勧める新書本をさがしていたときに、近所の(ていうかちょっと行ったところにあると知って自転車で行ってみた)本屋さんで見かけてたもの。けっきょく学生に進めるリストに入れるのは見送って、いまになって読んだ。

通勤電車で『数学書として憲法を読む』。

数学書として憲法を読む: 前広島市長の憲法・天皇論

数学書として憲法を読む: 前広島市長の憲法・天皇論

  • 作者:忠利, 秋葉
  • 発売日: 2019/07/17
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)
れいによってTwitterでみかけたので。日本国憲法を、数学書として読むのであると。つまり、それぞれの条文が公理であるような、公理系として読むと。そうすると、いろいろなことが読めてくるよということで。著者は前広島市長の人で、ところがじつはこの人、ちゃんとした数学者だったのだそうで。そうだったのか。なので、ちゃんとした数学者の人が政治家や市長さんになって、本気で憲法を公理系として読んだのだよと。まぁ、そういう触れ込みで読んだわけである。