http://www.mainichi-msn.co.jp/shakai/edu/news/20050512k0000m040010000c.html
パソコンでメールをやり取りするのは中学2年生がピークで、高校生はコミュニケーションツールとして、パソコンより携帯電話を使っている−−。ベネッセコーポレーションの「第1回子ども生活実態基本調査」で、子供たちがパソコン、携帯電話をどのように利用しているのかが明らかになった。【岡礼子】
調査は昨年11月から12月の2カ月間、全国の公立小学4年生から普通科の高校2年生まで約1万5000人を対象に、生活の様子や、メディアとの接触状況、親子や友だちとの関係、学習についてなど、幅広く聞いた。
◇携帯電話の使用
携帯電話の所持率は、小学生は19%だが、中学生45%、高校生では93%と大半が持っており、携帯電話を持っている小学生のうち37%、中高生60%が「何もすることがなくなるとすぐに携帯電話を見てしまう」と答え、「電話やメールがこないとさみしくなる」中高生も52%で、多くの中高生にとって携帯電話が生活の一部になっている傾向が見えた。また、「会ったことがない人と電話やメールでやりとりをすることがある」と答えた小学生は8%、中高生では2割に上った。
携帯電話のメール機能を使うのは男子より女子の方が多く、「1日に1回以上友だちにメールを送っている」小学生は男子20%、女子51%と、小学生からすでに女子の利用が多い。中学高校になると男子の利用が増え、男女の差は少なくなるが、中学生で男子83%、女子92%、高校生で男子90%、女子は97%と、女子が多い傾向は変わらない。
◇パソコンの使用
パソコンで「電子メールをやりとり」しているのは、中学2年生で約30%だったが、高校1年生が15%、高校2年生が13%と高校になると減っている。一方、携帯電話の所持率が、中学生全体の45%から、高校生全体の93%と大幅に増えており、高校生がコミュニケーションツールとしてパソコンより携帯電話を使っていることが分る。
パソコンで「ゲームをすることが多い」のは小学4年生が最多で68%。学年が上がるにつれて減り、高校2年生では32%だった。「学習ソフトを使って勉強する」も小学4年生が23%と最多で、学年が上がるにしたがって減り、高校2年生では2%と、ほとんど使っていなかった。
パソコンの使い方。小学生は「ゲームをする」、中高生は「インターネットで趣味や遊びのことを調べる」が一番多い。
◇「子供たちにもデジタルデバイド」 中央大学の古賀正義教授調査メンバーの1人、中央大学の古賀正義教授は、小中学生を成績の自己評価、高校生を所属する学校の偏差値によって3段階にランク分けし、「携帯電話がないと今の生活が不便になると思う」「何もすることがないとすぐに携帯電話を見てしまう」「電話やめるがこないとさみしくなる」−−などを聞いた結果を分析した。
その結果、「携帯電話がないと今の生活が不便になる」と思っているのは、小中高校すべてで成績上位の子供たちの割合が高かったのに対し、「何もすることがなくなると、すぐに携帯電話を見てしまう」「会ったことがない人と電話やメールでやり取りをすることがある」と思っているのは、小中高校すべてで、成績下位の子供たちの割合が高かった。また、友だちにメールを送る回数は、中学高校の男女ともに成績下位の子供の方が多く、特に女子は中学で50%、高校で38%だった。
古賀教授は「子供たちの成績や所属する学校のランクによって、情報メディアとの接触の仕方、携帯電話への依存度に差がある。子供たちにもデジタルデバイドが起きているのではないか。携帯電話は主にコミュニケーションに使われるので、利用者がコミュニティーを形成し、いっそう利用が進むという状況もある」と指摘した。
毎日新聞 2005年5月11日 17時42分