通勤電車で読む『上司・リーダーのためのついついやっちゃう不安全行動改善の手引き:動機づけ面接を活用した4×4で組み立てる部下との関わり』。好感を持ったのは、工場での労災防止のはなしだったことと佐藤くんが憎めなかったこと。

動機づけ面接の本を読むシリーズ( https://k-i-t.hatenablog.com/entry/2023/01/25/002506 https://k-i-t.hatenablog.com/entry/2023/01/30/212548 https://k-i-t.hatenablog.com/entry/2023/02/15/234944 https://k-i-t.hatenablog.com/entry/2023/02/16/214044 https://k-i-t.hatenablog.com/entry/2023/02/20/234353 https://k-i-t.hatenablog.com/entry/2023/02/22/153609 )。監修は『リーダーのための…』の著者のひとり。著者はインストラクショナル・デザインを勉強したり放送作家をしたりした経歴の人。で、この本は、とても薄くて、そのほとんどがケースの会話例で構成されている。で、登場人物がマンガ的なキャラクターになっていて、会話のセリフのあたまに顔のイラストが描かれてるタイプの本。で、「中央労働災害防止協会」ってとこが発行しているテキストで、工場の労災防止がテーマ。登場人物は、入社2年目の小デブの佐藤くん(20)とその教育係の5年目の刈上げパーマ&ヒゲの山田さん(23)。で、ときおり黒岩主任(32)が山田さんに指導方法をアドバイス、というかんじ。また、最後のほうでは入社1年目の新人女子木下さん(19)も登場。で、とにかく佐藤くんが来る日も来る日もついついやらかして、山田さんが指導する、というくりかえしなんだが、とにかく佐藤くんがなんとなく憎めないキャラクターで、それがこの本の好感度につながってる。ついついトルエン缶の蓋をあけたまま持ち場を離れたり、薬品用冷蔵庫が満杯だったからといって有毒薬品を食品用冷蔵庫に入れちゃうとか。いや、ちょっとのことだからだいじょうぶでしょ、という佐藤くんのついつい油断する気持ちもなんかわかるし、しかし工場でそれをやると重大事象につながるからぜったいやってはいけないのである。それはつまり、高校を卒業して工場に就職した佐藤くんが、危険なこともあるような職場でがんばって仕事をして、すこしずつ労災防止の心がけを身に着けて一人前になっていく、というドラマなんである。また、教育係の山田さんだって、刈上げパーマ&ヒゲの、町内のお祭りに盛り上がる系の高卒入社5年目で、さいしょはポンコツの佐藤くんを気合で激詰めしたりしていたのを黒岩主任に諭されて、たまに自分も失敗もしつつ、まずまずいい先輩として佐藤くんをうまく指導したりしているわけである。なんかいいはなしじゃないですか。不安全行動というのは、これはもうゼロにしないと重大事象のリスクになってしまうので、注意指導して正す以外の選択肢はないわけである。そこが、医療や福祉や、あるいは企業のケースとはちょっと条件が違う。なので、動機づけ面接が相手の行動を思い通りに効果的に変容させるためのテクニックでしかないとしてもそれが欠点に見えないのである。