『みみずくは黄昏に飛びたつ』読んだ。ベテラン保守政治家の答弁のような春樹。これは読むべき。

このまえ買って(https://k-i-t.hatenablog.com/entry/2023/10/15/213410)、読み始めたらテーマが『騎士団長殺し』だってことで『騎士団長殺し』を読み(https://k-i-t.hatenablog.com/entry/2023/10/29/200227)、であらためてこっちを読んだ。で、村上春樹というのはだからまぁ、いつもながら同じ話を繰り返し書いているわけだし、まぁ飽きることも懲りることもないセクシストなわけで、だから川上未映子という、まぁわたくしは昔の何冊かしか読んでいないけれど(https://k-i-t.hatenablog.com/entry/20110805/p1 https://k-i-t.hatenablog.com/entry/20111125/p1 https://k-i-t.hatenablog.com/entry/20120429/p1 https://k-i-t.hatenablog.com/entry/20130110/p1)(読み返してみて気づいたが『乳と卵』の感想のなかで村上春樹に言及してる)、ひととおりの現代を生きる感覚を持ち合わせているであろう作家がインタビューするというと、やはりどうなることかと思うわけである。なので、意外にも川上が礼節をもってインタビューしているので、まぁ思ったよりは村上春樹印のインタビューになっている。村上春樹は「物語」を語っていて、いまの日本の文壇とか純文学とかからは距離を置いてこつこつと作品を書いていて、「善き物語」を生みだしている、こつこつと何度も推敲を重ねて、文章がとてもうまい、しかも作品を重ねるごとに新しい挑戦をしている、といったことが、はなしの前提となっていて、そのうえでインタビューが進んでいる。のだけれどまぁなにせインタビューの時間が長いので、ときどき、まぁようするにいつも判で押したようなワンパターンだとか、男性中心主義だとか、あるいはイデアとかメタファーとかいう言葉を使っているけれどそれはたとえばプラトンの議論をどのように参照しているのか、とか、まぁそういうみんなが思っていることに話題が触れることがあるわけである。そういうとき、春樹はまるでベテラン保守政治家のように、「覚えていない」「無意識でやっていたのだろう」「特に意図してやったわけではない」「それはみなさんの考え過ぎだ」「こういうことを言えばまた叱られるだろうが」「それがイズム的に見ておかしい、考えが足りないと言われれば「すみません」と素直に謝るしかない。謝るのはぜんぜんかまわないんだけど(笑)」とか答弁するわけである。